朝ドラ「風、薫る」遊郭の“やり手婆”とは?看病婦・須永ヨシが知る明治時代の女郎の地獄:5ページ目
明治になり花魁でも「さげずみの対象」に
明治時代、ドラマの舞台となっている帝都医科大学附属病院(今の東大)の裏にある根津神社の門前には『根津遊郭』があり、当時は帝大生で夜な夜な賑わっていたそう。原案になった伝記にも無理心中をした花魁の話がでてきます。
そして明治は、花魁など「体を売る女性に対する価値観」が変化した時代でした。花魁など高級遊女は「高嶺の花」のエリートだった江戸時代の価値観から、「男を誘惑する論理的に劣った存在」「性病の温床」という考え方に変わったそうです。
女性は「純潔=処女」がもっとも好ましいという意味不明な価値観に変わり、「処女でない女は性的に搾取されても仕方がない」とする考えもあったとか。そのために女郎は哀れみやさげずみの対象となった……という話があります。
「さげずみの対象なのになんで女郎屋に遊びにいくんだ?」と言いたくなるような、愚かしい価値観です。
ドラマの中の夕凪は、もしかしたらそんな愚かな差別やさげずみの社会の中で、客からも女郎屋からも誰からも、まったく大切に扱われない日々を送っていたのかも。
意識を取り戻しましたときの夕凪の
「どうして…助けたのよ。余計なこと…。また地獄に戻らなきゃなんない…」
という言葉に、どれほどの地獄を生きているのかと思いました。
けれども、「患者が誰であろうが最善の手を尽くすのが看護」を学んできたりんや直美にとっては、息がある患者をほっておくことなどできません。
今は生きていく気力のない夕凪を、りんと直美はどのように看護していくのでしょうか。あまりにも愚かしいこの時代の差別やさげずみの日々から救うことはできるのでしょうか。
「女郎は命が助かるほうが酷」というヨシが語る現実はあるものの、きれいごとでもりんや直美の看護で、夕凪が少しでも生きる希望を取り戻せることを祈りたいものです。
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参考:
堀江宏樹『三大遊郭 江戸吉原・京都島原・大阪新町』
田中ひかる『明治のナイチンゲール大関和物語』

