朝ドラ『風、薫る』孤児を救い異国で命に寄り添った女性…工藤トメのモデルとされる広瀬梅の生涯:3ページ目
しかし昭和16(1941)年、梅は佳三とともに帰国の途につく道を選びました。しかし帰国の船上で夫・佳三が亡くなります。
梅は非常に落胆し、いったん親類や友人のいるアメリカへ戻りました。
昭和18(1943)年、梅は日本へ帰国します。このとき75歳となっていました。
すでに太平洋戦争のさなかの帰国であり、若き日に海を渡り、異国で長く暮らした梅にとって、日本へ戻ることは、人生の大きな区切りでした。
帰国後、梅はかつて三陸津波の被災地から連れ帰ったルツ子と再会。これはのちの昭和28(1953)年の『東京朝日新聞』などが、60年ぶりの「親子」の邂逅として報じたとされています。梅、ルツ子、ルツ子の育ての母の3人が聖書に手を添えて再会を喜ぶ写真も掲載されたといいます。
その後、梅は世を去ったと思われますが、没年について詳細はわかっていません。
しかし梅の人生の輪郭は、はっきりしています。旧藩士の家に生まれ、家族の反対を押し切って学び、キリスト教と看護に出会い、災害救援、移民社会の支援、教育へと歩みを広げた一生…
広瀬梅の生涯は、明治の近代看護と海外移民社会を生き、目の前の命に静かに手を差し伸べた一人の女性の歩みだったと言えるでしょう。
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