『豊臣兄弟!』わずか10歳、あまりに残酷な結末…浅井長政(中島歩)の長男・万福丸の凄惨な最期:3ページ目
さまざまな史料に書かれている万福丸
史料で、万福丸についての記述には以下があります。
▪️『当代記』
「備前守嫡子 萬福と 云有之……」で始まる部分に、
浅井備前守(浅井長政)の嫡子・萬福(万福)という者がいたが、越前(朝倉氏)に人質として差し出された。その後、越前平定後に加賀国に逃げて身を隠していたがその間に盲人となった。
そして母または祖母(信長の母)を頼ってでてきたところ近江国木本で信長の命により処刑された。
なぜ、盲人となったのか、誰に捕まったのかなどの詳細は不明です。
▪️『浅井三代記』
万福丸は浅井の小姓あがりの木村喜内之介という家臣に預けられたが、落城前夜に脱出。越前国敦賀郡のある人のもとで匿われていた。
信長は、長政のもとから無事に送り返された妹・市を呼び、「長政には男子が一人いたというが何処に行ったのか?近い親類のことで心配だ」と言いくるめて居場所を聞き出し、木村に「男子を戻すように」と手紙を出す。
けれどもそれを信用しなかった木村は「万福丸は殺した」と返信した。
さらに、信長は重ねて「良きにいたわる」という手紙を送ってきたので、木村はすでに存在がばれていることだしと万福丸を伴い、近江国木之本に出向き秀吉に渡した。
ところが、信長は「その子を串刺しにして晒せ」と秀吉に命じた。万福丸が犠牲になったおかげで、もうひとりいた男児は難を逃れることができた。
▪️『国史大辞典』
小谷城落城後「嫡男万福丸は刑死し男系は絶える」と記されているそうです。
▪️『信長公記』
万福丸という名前はでてこないものの、浅井親子(久政と長政)の首を京都に送って獄門にした後、「浅井備前が十歳の嫡男」がいると聞いた信長。同じ男児を探し出させ、関ヶ原で磔にした。万福丸は享年10歳。
「浅井長政の謀反に激怒した信長によって、万福丸は磔にされて串刺しにされた」という説はよく見かけますが、さすがに今の時代、そんな場面を「豊臣兄弟!」でリアルに描くとは思えないのですが……
ただ、以前「もしかしたらフラグ?」と思えるシーンがありました。
豊臣家の茶の間で、寧々(浜辺美波)とまつ(菅井友香)と、妊娠中のとも(宮澤エマ)がおしゃべりしていたとき、ともが「もし藤吉郎が浮気したら串刺しにしてやる!」と言いつつ、串に刺した団子を食べていたシーンを、覚えていますか。これに戦慄した人もいるようです。
何度も映される串刺しの団子が、あの天真爛漫でいい子な万福丸処刑のフラグにならなければいいのですが。
最期に
二度も信頼する弟に裏切られた信長。今回は、藤吉郎の「信頼できる人間はここにおりますぞ」という度肝を抜く行為に感銘し、涙を流すという人間味あふれる場面が描かれました。
もしドラマが、『浅井三代記』パターンだとしたら。
長政と別れて織田家に戻ったお市は、兄に「万福丸が心配だから呼び寄せよ」と言われても、「殺すのか?」と察する気もします。愛する夫・長政の男児で、自分に懐いていたら絶対に庇おうとするのではないかと思います。
それとも、「兄弟の絆」がいつも丁寧に描かれるので、もしかしたら豊臣兄弟が、長政とお市のために万福丸を助けることに尽力するのかも?
……歴史上の出来事は、現代に生きる誰一人として、真実を見聞きした人はいません。史実が曖昧な部分は、その作品によって脚色され世界が作られていくもの。
万福丸に関しては、とても「素直でいい子」に描かれただけに、残酷な展開にならなければいいなと思います。
参考:浅井三代記、浅井氏三代(宮島敬一)
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