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朝ドラ「風、薫る」娘に遺した志…ヒロインの父・一ノ瀬信右衛門(北村一輝)のモデル・大関弾右衛門の生涯

朝ドラ「風、薫る」娘に遺した志…ヒロインの父・一ノ瀬信右衛門(北村一輝)のモデル・大関弾右衛門の生涯:2ページ目

藩主の死と維新の激動の中で

やがて弾右衛門に試練が訪れることとなります。

慶応3(1867)年12月、主君・大関増裕が急逝。大田原市の広報連載では、その前夜、増虎が藩主から後事を託されたという証言が紹介されています。

もちろん、この証言は後年の回想を含むため慎重な扱いが必要ですが、少なくとも増虎が藩主から特別な信頼を受けていたことは確かでしょう。

幕府と朝廷、新政府と旧体制のはざまで揺れるなか、黒羽藩の進路を託されるほどの重責を背負っていたのです。 

弾右衛門は慶応4(1868)年に家老職を辞任。しかしその後も明治2(1869)年の藩制改革では家知事となり、さらに明治3(1870)年には白川県大属に任命されたと伝えられています。

弾右衛門は、旧来の武士として退場したのではなく、新しい行政秩序の中でも一定の役割を果たした人物でした。

幕末の武士の中には、維新を境に急速に没落する者も少なくありませんでしたが、弾右衛門は変化に対応しながら地域社会に尽くそうとしたのです。ここに、この人物の底力があったのではないでしょうか。 

しかし明治9(1876)年5月、弾右衛門は病没。享年50。

武士として生まれ、藩政改革を担い、維新後の行政にも関わり、娘には近代日本を支える力を託した生涯でした。

その歩みは、激動の時代にあって、ひとつの家と地域を守ろうとした地方武士の実像をよく示しています。

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