『豊臣兄弟!』直(白石聖)が救った少女は何者?この悲劇は“刀狩り”の複線か?小一郎の後悔と転機:3ページ目
「米を作る百姓」を守ってくれない為政者への怒り
思い出されるのは2話『願いの鐘』。
野盗や野武士に次々と村が襲われ、多くの村人が殺されていました。その時、小屋に身を潜めて助かった小一郎と直は、静まった村の中の様子を見にいきます。
そこには、田んぼの側で泣き叫ぶ玄太の姿が。もう一人の友人・新吉(若林時英)が無惨にも殺され、その亡骸を抱きしめていたのです。
新吉は、苗を植えたばかりの田んぼを荒らされまいとして野武士に殺さました。
「なんなんじゃ、これは。わしらが何をした!!」と、斬り落とされた新吉の首を抱き絶叫する小一郎。
「信長も信長じゃ…偉そうなこと言うて、わしらのことを守ってはくれんじゃないか!わしらが米を作らなにゃ生きていけんくせに…」
と天を仰ぎ絶叫する小一郎。
領地争いに明け暮れる武将らが生きるための米を作っているのは農民。その農民を守らない為政者への理不尽さ・悔しさ・怒りが、小一郎を下剋上へと駆り立てたのでした。
けれども、侍になって手柄をあげ、広い屋敷に住み、上質になった着物を着て、柔らかい布団に寝て、腹一杯米もおかずも食べれる生活になった小一郎。
衣食住が満ち足りれば、今までの侍に対する怒りなど煙散霧消となってしまうのも無理はありません。
日々領地争いで勝つことを考え、時には命懸けで信長に仕えているうちに、農民だった頃の血を吐くような怒りは、自然と薄らいでしまったのかも。
さらに、そんな豊臣兄弟とともに暮らしている弥助も影響されていったのでしょう。
いつのまにか、彼らの社会への視線は、自然に為政者(支配者)サイドになっていたようです。
友人・玄太が訴える村の惨状を「こんな『小さきこと』にはかまってられんわ!」と言う弥助に、そんな感じがしました。(これも、その後の悲劇の伏線でしたね)
弥助も、まさかその「小さきいこと」が、直の命を奪うことになるとは思いもしなかったでしょう。
