なぜ「和食」は油が少なく「中華」は油が多い?日本と中国、料理を分けた“油と水”の歴史:3ページ目
中国はなぜ油を多用するのか
一方、中国では油をふんだんに使う料理が発達しています。その背景には、歴史的な転換点がありました。
元代にモンゴル族が支配者となり、バターや動物脂を好んだことが、中国料理に油文化を一気に広めた一因ともいわれています。
そうして宋代に盛んだった魚のなれ鮓文化は衰退し、油脂を使う料理が主流になりました。朝鮮でもモンゴル支配をきっかけに肉食が復活し、油脂文化が定着しました。
自然環境の違いも大きな要因です。日本は雨が多く川が短いため 軟水 が主流であることから素材の味が出やすく、煮る・炊く・だしを出すなどの調理に向いています。
対して中国は大陸が広く川が長いため 硬水 が多く、煮崩れしにくくアクが出やすい特徴があります。
しかし硬水では水煮や湯通しが難しく、炒める・揚げるといった油を使う調理法が発達しやすい環境でした。
これについては、漫画『鉄鍋のジャン!』でも、中華料理は油でもって水を制してきたのだと説明されています。
さらに、中国では油は 活力の象徴 として扱われ、「加油(頑張れ)」という言葉にもその価値が反映されています。油はエネルギー源として肯定的に受け入れられ、文化的にも重要な位置を占めてきました。
こうして見ていくと、日本と中国の油文化の差は単なる好みの違いではなく、家畜文化、水質、歴史的支配、資源利用といった複数の要因が重なった必然の結果だとわかります。
料理はその土地の歴史と環境の集大成であり、油の使い方ひとつにも深い背景があるのです。
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参考資料:
澤渡循環器クリニック
J-オイルミルズ
みんなのバイオ学園
油屋の歴史40
日清オイリオ
画像:photoAC



