【豊臣兄弟!】あの“迷い”は史実の豊臣秀長への布石——なぜ小一郎は戦に向かった?直が突きつけた問い:4ページ目
小一郎の“根っこ”を照らした「直」のストレートな言葉
侍を捨て「村に帰ろう」という小一郎に、「勝手に決めないで!」と怒り「いやじゃ!」という直。
あんたは本当にそれでいいの?
あんたは利口だから勝てない相手には最初から負けを認め、傷つかないように格好をつけているだけだと。
けれども、本当はそういう自分が悔しいくせして。だから、身分が低くても這い上がれる侍になって見返したのでしょ?
今戦わなくていつ戦うのか。侍になったのは自分自身のためではないかと。
と言います。
直は、村が野盗に襲われたとき。野盗に首を斬られた信吉(若林時英)の亡骸を抱きしめて、「なんなんじゃこれは…わしらが何をした!!」と慟哭する小一郎の姿を見ています。
彼はただ「侍に憧れただけ」ではなく、百姓という弱い立場で家も家族も命さえも無惨に奪われてしまうだけの人生でいいのか……と、思ったはず。
そんな、小一郎の考えていることが手に取るようにわかる直。幼いときからずっと見ているだけあって、内面の動きが手に取るように肌感覚でわかるのでしょう。前述の言葉は、直にしかいえないセリフですね。
直の言葉は、小一郎の“根っこ”の声を代弁し、鮮明に照らしました。
そして、自分の本来の気持ちを再認識し迷いを吹っ切った小一郎は、出陣の支度をする藤吉郎の前に、甲冑を身につけ腰に兄が戦場で拾ったとくれた刀(縁起が悪いと断ってましたが)を下げ姿を現します。
月の光に照らされ再び立ち上がった小一郎。
単なる、「俺も敵を倒すぞ〜!」な「宣戦布告」ではなく、自身の迷いを乗り越えたことの「意志の表明」。
これから秀長という人生への「いざ、出陣じゃ!」だったのでしょうか。
架空のキャラクターである直の存在は、小一郎から秀長へと人生が切り替わっていく道標として必要だった。そんな気もしました。
最後に……
豊臣秀長は、温厚・誠実・思慮深い人物として、戦場での派手な武勲よりも、豊臣政権を支える冷静な判断や調整力、計画力が評価されました。
実際に、表舞台に登場するのは、信長の家臣として兄の秀吉が頭角を表し始めた頃と伝わります。
今回、ドラマで鮮明に描かれた小一郎の「迷い」は、将来的に史実の秀長の人物像を表す布石なのかもしれません。
次回の4話「桶狭間!」。いきなり勇猛果敢な侍ぶりを発揮して手柄を立てる……とは、到底思えない小一郎。もしかしたら、「腕」ではなくその「知」でなにか働きぶりを見せてくれるのでしょうか。

