【豊臣兄弟!】あの“迷い”は史実の豊臣秀長への布石——なぜ小一郎は戦に向かった?直が突きつけた問い:3ページ目
臆病風だけではない現実的な言葉に秀長らしさが
「和睦は敗北。たとえ負けるとわかっていても命をかけて戦わねばならないこともある。それが侍じゃ。志のないものは失せよ。」と信長。
個人的には、そこで目が覚めたように瞳を輝かせて「は!命をかけて戦います!」とはならない小一郎が、のちの秀長らしくて好きでした。
逆に、小一郎の瞳には、“侍というものに対する怒りと失望”が灯ったような。
「ああそうかい。侍なんぞこっちから願い下げじゃ」と呟いて、立ち去る小一郎。村を出たときの「侍になるぞ!お〜!」という希望や夢が急速に萎んでいくのがみえました。
その帰り道、城戸小左衛門にばったり会います。「どけ!」と怒鳴られても無視する小一郎。「その木彫りのお守り御利益はありますか」といきなり聞きます。(実はそのお守りは父親のもので小左衛門に盗られた?)
「御利益はある、もらいもんだが」と言いつつ、おのれの自慢話をして父親の悪口を言う小左衛門に、笑いながら「あまりにもブサイクなお守りなのであなたさまにお似合い」と、強烈な喧嘩をふっかける小一郎。
“侍”というものにうんざりし過ぎてヤケになったようにも見えます。
小一郎は、以前、戦の準備をする年配の家臣に小左衛門が「俺は戦でたくさん殺している。お前と俺とではどちらが役になっているか?」とすごく威張り倒していた場面を見ています。
小左衛門は「父の仇」と言うだけではなく、「殺傷能力だけが自慢の威張り倒す嫌な“侍”」という認識もあったのでしょう。
参考記事:
『豊臣兄弟!』あれは不穏な伏線!?藤吉郎に容赦ない稽古をつけた城戸小左衛門の正体と今後の展開
前回、野盗に斬られた友人の亡骸を抱きしめ「信長も信長じゃ…偉そうなこと言うて、わしらのことを守ってはくれんじゃないか!わしらが米を作らなにゃ生きていけんくせに…」と慟哭していた場面を思い出します。
「負けるとわかっていても命をかけて戦うのが侍」……覚悟を決めたかっこよさげな言葉ではあるけれども、その侍の命を支える米を作るのは百姓。いざ戦になれば、犠牲になるのは戦わない百姓。
小一郎は、強くなり偉くなり皆を守りたいと侍になると決意したものの、その現実に直面して幻滅して、すっかりやる気を失ってしまったように見えました。
4ページ目 小一郎の“根っこ”を照らした「直」のストレートな言葉

