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『べらぼう』総集編の放送間近!蔦重を生み育てた“女たちの底力”、感動の名場面をおさらい【4人の女神編】

『べらぼう』総集編の放送間近!蔦重を生み育てた“女たちの底力”、感動の名場面をおさらい【4人の女神編】:2ページ目

短いけれど温かく心に沁みるふじの「ん。」

駿河屋の女将ふじ(飯島直子)は、蔦重の母親です。マイペースで、蔦重が夫に“階段落ち“させられても、気にしないでお菓子を食べつつ帳簿付けなどをしていたキャラでした。

(まさかのぽりぽり食べていたお菓子が、そののち、てい(橋本愛)の凍った心を温める伏線になっていたとは…)

そんな、ふじに度肝を抜かれたのは、第18話「歌麿よ、見徳は一炊夢」。やっと再会できたものの、荒んだ生活を送っていた歌麿を蔦重は、地獄から引っ張り出しました。

自分同様に駿河屋の養子にして欲しいと頼むも、トラブルのもとになると反対する市右衛門。そこへ、「ええい!ガタガタ抜かすんじゃないよっ!」とばかりに、壁ドンならぬ、白足袋で階段をドン!と踏み鳴らして、市右衛門をだまらせるふじ。めちゃかっこよかったですね。

ふじは、「勇助」という名前の歌麿の人別(戸籍)を用意してくれました。ふじは、時々蔦重が行方不明になった唐丸(子供時代の歌麿/渡邉斗翔)の前掛けを取り出しては眺めていることに気がついてましたね。

「重三郎は、あの子をずっと待っていたんだよ」。

さらっとしているけれども、ふじは蔦重のことを心から愛して可愛がっているのが伝わってきました。そして、口は悪いしすぐカッとなるし荒っぽいけれど、実は蔦重を自分の息子のように大切にして跡を継がせようと思っていた義理の父親・市右衛門。

実は、子供に対して愛情深い両親に育てられていた蔦重。癒しキャラだった兄の次郎兵衞(中村 蒼)の性格の良さからも分かりましたね。

そして、ふじさんの口癖「ん。」が大きな役割を果たしたのが、第44回「空飛ぶ源内」でした。流産のショックで何も食べられなくなったていは、死に急ぐかのようにやつれていく一方。そこに、ふじ、次郎兵衞の妻とく(丸山礼)が見舞いに訪れます。

持参したのは、箱詰めになっている「ふじ撰江戸名物菓子之部」。お菓子が大好きなふじのチョイスです。そして小さい箱は、仏様になったつよと子供の分。

「小さな子は甘いものが好きだろう? おつよさんも嫌いじゃなかったしね」と仏前にお供えしつつ、「さ、私たちも頂こっか」と座り直すふじ。

「わたしも」と小さな声でつぶやいたていに、「ん。」といつものように言ってお菓子を1つ差し出します。きっと、世界一優しい女神の「ん。」。

「元気だしなさい」とか「泣いていると子供も泣くよ」とか「また子をつくればいいよ」とか、余計なことは一切言わないふじはさすがです。冷えた心にじわ〜っと染み入るような、とても温かいふじの「ん。」この人にしか出せない優しさでしたね。これで、元気を取り戻すていと蔦重なのでした。

ふじの「ん。」の一言と、お菓子ぽりぽりが、まさかのここで生きる脚本にも脱帽でした。

3ページ目 本で世を耕すという蔦重の“夢”をかなえた女神

 

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