手洗いをしっかりしよう!Japaaan

『べらぼう』史上最高の“萌えキャラ”松平定信(井上祐貴)──ツンデレなオタク全開!10の魅力【前編】

『べらぼう』史上最高の“萌えキャラ”松平定信(井上祐貴)──ツンデレなオタク全開!10の魅力【前編】:2ページ目

「クセ強めのアピール」をする張り切りぶり

大人になった定信が初登城のときのこと。気合い満々で城内の廊下を歩く定信に、「我こそは吉宗公の孫であると、吉宗公の愛した木綿の着物で現れるという“クセ強めのアピール”を行っておりました」という、九郎助稲荷のナレーション(綾瀬はるか)が入りました。

“クセ強めのアピール”には、思わず笑いが。生真面目過ぎて、ちょっと面倒くさそうなキャラに描かれているのも面白かったです。

そして、第34話『ありがた山とかたじけ茄子』では、老中首座に抜擢された定信はみるからに、張り切りではち切れそうになっていました。

「今、この国は田沼病にかかっておる!」「田沼病は恐ろしい病だ。これを治すための薬はただ一つ。万民が質素倹約をむねとした享保の改革にならうことである」と、大演説。

「それぞれの分(身分)を全うすべく努めるべし。武士は文武に努め世を守り、百姓は耕作に努め世を支え、そのほかの者は世に尽くすべし!」このときの定信の憎たらしかったこと。

熱く“正しきこと”を語るも、上様(徳川家斉/城桧吏)は退屈そうだし、その父・一橋治済(生田斗真)はあくびを噛み殺していました。定信の一途で生真面目過ぎる性格が、将来の危さを予感してしまう場面でした。

とはいっても、「読売(瓦版)」に提灯持ちの記事を書かせ「田沼の者を叩けば叩くほど、民は喜ぶ。私の評判は上がる!」と世論誘導をする“食えない部分”もあった定信でした。

「京伝先生は」とクリエーターを“先生”呼び

定信のオタクっぷりが出た全面に出た場面といえば、山東京伝(北尾政演/古川雄大)作の『江戸生艶気樺焼』を読んでいたときのこと。

その本は、佐野政言(矢本悠馬)に殿中で斬られ命を落とした田沼意知(宮沢氷魚)や恋仲だった花魁・誰袖(福原遥)の仇討ちをするべく、蔦重が「本で仇を」と出版したものです。

この新刊、定信も自室で読みながら、主人公の名前が“仇気屋”であることに引っ掛かり、「仇……これは、京伝先生は何かを穿っておるのか。」と思わず独り呟きます。

作家に「先生」を付けて呼ぶあたり、いかにもオタクらしい!とSNSで評判になった場面でした。定信がクリエーターをリスペクトしているところに好感が持てました。

さらに物語にのめりこんでいるところに家臣が「殿、よろしゅうございますか?」と声をかけます。「ちょっと待て」と立派な塗りの箱(過去の黄表紙本がぎちぎちに詰まっていましたね)に、本を隠しました。

生真面目過ぎて田沼憎しに凝り固まっていて融通の効かない「癇癪小僧」ですが、憎めない人間味を感じた場面でした。

3ページ目 揶揄をそのまま「褒められた!」と大喜び

 

RELATED 関連する記事