ウグイスは茶色っぽいのになぜ“うぐいす餅”は緑色なの?うぐいす餅の誕生、きっかけは「豊臣兄弟!」
うぐいす餅の実態
春の訪れを告げる和菓子として、多くの人々に親しまれているうぐいす餅ですが、その名前と実物の色合いとの間には違いがあります。
実際の鶯(うぐいす)の体色は、灰色がかった茶色、いわゆる「鶯茶(うぐいすちゃ)」と呼ばれる地味な色彩をしています。
これに対し、和菓子屋の店頭に並ぶうぐいす餅や、あるいは「うぐいす色」と呼ばれる色見本は、鮮やかな黄緑色をしているのが一般的です。
この色彩の食い違いについては、古来より人々が緑色のメジロ(目白)という鳥と鶯を混同していたためであるという説があります。
しかし、歴史的背景や菓子の変遷を紐解くことで、単なる誤解ではない別の側面が見えてきます。
まず、うぐいす餅という菓子の基本的な定義から。
一般的にはうぐいす餅は、あんを求肥(ぎゅうひ)で包み、楕円形に整えて左右の端を少し摘んで尖らせ、青大豆から作られたきな粉である「うぐいす粉」をまぶしたものを指します。
この形状はまさしく鳥の形で、手のひらに収まるサイズ感は、春告げ鳥の愛らしさを表現した造形と言えるでしょう。
うぐいす粉は通常のきな粉よりも甘みが強く、独特の香ばしさがあります。
