ウグイスは茶色っぽいのになぜ“うぐいす餅”は緑色なの?うぐいす餅の誕生、きっかけは「豊臣兄弟!」:3ページ目
なぜ緑色になったか
では、なぜ現代のうぐいす餅は鮮やかな緑色へと変貌を遂げたのでしょうか。
これには、原材料の変化と日本人の色彩感覚の変化が深く関わっています。
時代が下るにつれ、和菓子の世界では色彩による季節の表現がより重視されるようになりました。
そこで、春の息吹や若草の萌え出るイメージを強調するために、あえて青大豆を用いた「うぐいす粉(青きな粉)」が使用されるようになりました。
青大豆は成熟しても種皮が緑色のままである品種であり、これを粉末にすることで美しい若草色が生まれます。
この鮮やかな緑色が「春の菓子」としての視覚的な魅力を高め、また抹茶を加えるなどの工夫も相まって、次第に「うぐいす餅=緑色」という認識が定着していったのでしょう。
実際に、現在でも発祥の地である奈良県の老舗などでは、伝統を守り、あえて青きな粉ではなく通常の黄色いきな粉を使用したうぐいす餅が作られています。
また、栄養学的な観点から青大豆の特徴を見てみると、黄大豆に比べて油分が少なく糖分が多いという特性があり、これが濃厚な甘みとあっさりとした後味に繋がっています。
現代においては、見た目の美しさはもちろんのこと、低脂肪でヘルシーな素材としての側面も評価されているのです。
参考資料
