朝ドラ「ばけばけ」実際にあった花田旅館!現在は?劇中でも忠実に再現された旅館での実話とは
朝ドラ「ばけばけ」には、多くの魅力的な人物が登場します。
劇中では、実在した人物をモデルとしたキャラクターが数多く登場してきました。ヒロイン・トキがお世話になる花田旅館の人々(平太・ツル・ウメ)もその中に含まれます。
モデルとなったのは富田旅館の富田太平、ツネ、お信の3人でした。
彼らは来日したラフカディオ・ハーン(小泉八雲)と出会い、最初に出会った日本人として関わります。
彼らとハーンの間には、とても人間臭く人情味のある話が残されています。
富田旅館の人々はどのような人々だったのでしょうか。彼らとハーンの関わりについて見ていきましょう。
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ラフカディオ・ハーンの来日と富田旅館
明治は、政治だけでなく教育においても近代化が急がれていました。
島根県知事・籠手田安定は、英語教育の充実のために外国から英語講師を招聘。明治23(1890)年8月30日に小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)が講師として松江に到着しました。
このとき、ハーンが最初の住まいとしたのが富田旅館です。
富田旅館は大橋川沿いに位置し、島根のシンボルである宍道湖を望む場所に建っていました。ハーンはここで川風と町のざわめきを聞きながら筆を執ります。
朝は好物のエッグスフーフー(目玉焼き)を所望し、宍道湖名物のしじみを味わったという証言が残ります。
ここで同館の主人として、ハーンに接したのが富田太平です。
太平は、帳場に座るばかりでなく、客の出入りや町内の出来事に目配りする「近代的な宿主」でした。
太平の妻で若女将・ツネは、ハーンの滞在当時「31歳」と紹介されています。おそらくはここから、太平も30代前後であったと推測されます。
彼らの証言によれば、八雲は衛生観念が強く、帰宅後の手洗い・うがいを怠らず、静かな部屋で長時間筆を走らせたといいます。
他にハーンは巻き寿司や刺身を好み、一方でドラマ同様に糸こんにゃくが苦手だったこと、浴衣で過ごす居ずまいなども記録に残りました。
こうした生活の断片は、文学作品の背景としてのみならず、明治期の都市旅館における外国人知識人の生活の風景を映し出します。



