朝ドラ「ばけばけ」実際にあった花田旅館!現在は?劇中でも忠実に再現された旅館での実話とは:3ページ目
富田旅館の面影
その後の富田旅館はどうなったのでしょうか。
昭和6(1931)年5月16日、松江の旧市街で大火が発生。富田旅館を含む一帯は焼け落ちてしまいました。
その後、戦前の町割りは再編され、罹災地の一部は東本町として再出発します。
現在の大橋館は富田旅館の流れを汲み、その一角に「最初の宿」の記憶を宿し続けています。川面に映る灯りは変われども、物語は確かに継がれている。
この地が、八雲を「日本の面影」へと誘った入口であったことを示す静かな証言です。
松江の橋のたもとで、旅人を迎えた一軒の宿。その帳場に座る夫婦と、台所を走る少女のまなざしが、八雲の「日本」像を形づくった。
私たちは今もその視線の延長線上に立っているのかもしれません。
