『べらぼう』神対応と称賛の声!男色か?の問いに「好きな人とそれ以外」心に沁みる歌麿の答え【前編】:3ページ目
歌麿の中に育まれたクリエーター魂
子供の頃から、母親に男に体を売らされるという虐待地獄を生きてきて。大人になっても男女限らずに体を売り、まるで死んだような生活をしていた歌麿。
蔦重に助けられ、一緒に暮らすようになってからは“弟”になるものの、蔦重がてい(橋本愛)と結婚してからは、居場所を失い大好きな絵も描けなくなって悩みの沼でもがくことに。けれども鳥山石燕(片岡鶴太郎)と再会し弟子入りすることで、歌麿はその心を助けられる。さらに、きよ(藤間爽子)と所帯を持ち、ようやく自分だけの居場所と幸せを得たのに、きよは亡くなってしまうという、怒涛の展開。
ずっと胸に秘めていた子供時代から慕って尊敬していた蔦重への愛情ですが、きよとの結婚生活を経て、義兄弟としての間柄、仕事仲間としての間柄という割り切り方に落ち着いたように見えました。けれど、きよ亡き後、蔦重への想いが再燃しそうで、しばらく距離を取っていた歌麿。
それでも、蔦重が持ち込んだ「大首絵」という新しい仕事への興味や創作欲が、その複雑な想いよりも勝ちました。蔦重と打ち合わせの最中、煙管に火をつける蔦中の横顔をうっとりと見つめていた歌麿ですが、はっと気がついたように「絵のモデルに小道具を持たせよう!」とひらめきます。
蔦重への複雑な想いよりも、クリエーターとしての「欲」が勝った瞬間でした。それも、きよとの結婚生活が影響していたのでしょう。
だから、軽率な「お前は男色か?」という瑣吉の言葉にも、もう自分の中に答えがでていることなので、冷静に率直にあの名セリフで答えることができたのだと思います。。
歌麿の心の成長ぶりが感じられる場面でした。けれども、そんな毅然とした様子でいる歌麿を心配したのが、蔦重の母・つよだったのです。
【後半】では、今回のストーリーの主役だった、蔦重と歌麿というふたりの“兄弟”の母親・つよと、“兄弟”それぞれの想いがこもった“おっかさん”というセリフについて、考察してみたいと思います。
【後編】の記事はこちら↓

