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【べらぼう】幸せを見つけた歌麿、定信の真意、おていの恐れた事態が現実に…?9月14日放送の解説・レビュー

【べらぼう】幸せを見つけた歌麿、定信の真意、おていの恐れた事態が現実に…?9月14日放送の解説・レビュー

ふんどし野郎こと松平定信(井上祐貴)の御政道をヨイショしながら批判する……そんな”うがち”をもって世に抗おうと決意した蔦重(横浜流星)たち。

しかし定信にはまるで通じず、かえって改革を勢いづかせる結果になってしまいました。

なかなか自分の意図した通りには受け取られないもの……しかしその悩みは定信も同じだったようで、よかれと進める改革は、思わぬ障壁にぶつかっているようです。

そんな中、喜多川歌麿(染谷将太)は、洗濯女のきよ(藤間爽子)と再会。彼女との関係を通して生きる喜びを見出し、ついに自身の画風を確立したのでした。

蔦重たちは更なる皮肉を繰り出すべく、今度は恋川春町(岡山天音)が『鸚鵡返文武二道(おうむがえし ぶんぶのふたみち)』を世に出すのですが……。

NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」第35回放送「間違凧文武二道(まちがいだこ ぶんぶのふたみち)」、今週も気になるトピックを振り返っていきましょう!

バカに皮肉は通じない

自身が「鎌倉武士の鑑(理想的な武士)」畠山重忠に見立てられる一方で、醜態をさらす田沼派の武士たち……朋誠堂喜三二(尾美としのり)の『文武二道万石通(ぶんぶのふたみち まんごくどおし)』を読んだ定信は大喜び。

側近が「これって実は皮肉なのでは?」と指摘しても、有頂天の定信は「黄表紙は面白くしてナンボだから」と気にもとめません。

確かに素直な目で読めば、定信が田沼派を叩いてはいるのですが……これだから洒落も皮肉も通じない田舎者は……蔦重たちは呆れるやら焦れるやら。

定信「蔦重大明神が、それがしをご加護くださっている」……九郎助稲荷(綾瀬はるか)のツッコミに、失笑を漏らしている場合ではありません。

このままじゃ、ふんどし野郎のふんどし担ぎ……本を綴じる手間さえ惜しんで、紙と綴じ糸のまま販売するほどの売れ行きとは言え、素直には喜べませんでした。

春町先生の取材力が生んだ傑作

『文武二道万石通』に加え、山東京伝『時代世話二挺鼓(じだいせわ にちょうつづみ)』そして恋川春町『悦贔屓蝦夷押領(よろこんぶ ひいきのえぞおし)』の3作が発売された中で、最も売り上げが伸び悩んだ春町先生。

一度はヘソを曲げるものの、主君の松平信義(林家正蔵)にはちゃんと皮肉の真意が通じており、故に高く評価されたことで納得します。

かつて田沼政権が手がけた蝦夷地の手柄を押領=横領(横取り)する定信について、信義は「(世を正さんとする)志は立派だが、果たしてしかと伝わるものか?」と案じました。

見れば定信の改革で文武に励む者は、みな俄かの新参ばかり。その内に飽きて投げ出すか、曲解してトンチキな振る舞いに及ぶのが関の山でしょう。

劇中でも弓術をひけらかそうと店の商品を射たり、馬術の稽古と言って女郎たちとお馬ごっこを始めたり……トンチキよりも、ぬらくら武士の方がよほどマシです。

こうした改革の弊害を取材して、見事に『鸚鵡返文武二道』でリベンジを果たすのでした。

2ページ目 『鸚鵡言』凧揚げで世が治まる?定信の真意は

 

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