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鬼の副長とは思えない…幕末の新選組・土方歳三が詠んだ美しすぎる俳句集と梅への想い

鬼の副長とは思えない…幕末の新選組・土方歳三が詠んだ美しすぎる俳句集と梅への想い:2ページ目

「梅の花壱輪咲ても梅はうめ」

さて、こちらは豊玉発句集の中でも最も有名な句の一つではないでしょうか。ものすごく良い句!というわけではありませんが、何かのキャッチコピーみたいに1度聞いたら頭から離れません。

そのまんまというか、深いような、深くないような、読み手によって意味を持ったり持たなかったりするこの句。俳句の世界では、豊玉発句集の中でも出来がよくない句とされています。しかしファンが惹かれるのは、やはりこの句に表れた歳三さんのまっすぐさと親しみやすさなのでしょう。

「梅の花咲る日だけにさいて散る」

発句集の最後を飾る句。
この句を残して、歳三さんは京へ旅立ち、新選組の鬼副長へとなってゆくのです。そう考えると、彼の覚悟がよく表れた真面目すぎるくらいに実直な句なのではないでしょうか。この句の通りに、歳三さんは幕末の世に咲き誇り、江戸幕府とともにその生命を散らしたのです。

番外編

俳句ではありませんが、実は新選組最恐ボス芹沢鴨の辞世の句も、梅に絡めた和歌でした。芹沢は酒に酔っては乱暴狼藉を働いた事で有名ですが、素面の時は至極まっとうで、礼儀も教養もあり、一廉の人物だったそうです。

「雪霜に ほどよく色のさきがけて 散りても後に 匂う梅が香」

勤皇の志士として真っ先にさきがけて、死んでも鮮烈な爪痕を残してやるのだという壮絶な覚悟に胸が震えますね。というかこんな素敵な句を詠むなんてギャップありすぎです芹沢局長。芹沢があってこそその後新選組が活躍したのですから、彼の遺志はしっかり果たされたのではないでしょうか。

そこのあなた、歳三さんの句とどっちが上手いかなんて、比べちゃダメですよ!大事なのはそこに宿ったそれぞれの思いなのですから♪

アイキャッチ画像:土方歳三 肖像 Wikipediaより

 

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