『べらぼう』ふく・とよ坊の救いなき最期、家治は毒を盛られ力尽き…無情すぎる絶望回に反響:3ページ目
に贈られた醍醐とは?
家治を気遣って元気の出るものをと考えた知保の方に、醍醐はどうかと提案する大崎(映美くらら)。彼女は毒物に詳しいらしく、かつて第19回放送「鱗(うろこ)の置き土産」で、知保の方に毒を手配していましたね。
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大崎は既に一橋治済の息がかかっており、主人さえ欺いて醍醐に毒を盛ったのでしょう。
家治に万が一のことがあれば、醍醐に関わった者すべての首が飛ぶ……そう恐れる知保の方を励ます大崎。大丈夫、心配いりません。
家治が亡くなれば、実質的な一橋政権が誕生するのですから、間違いなく庇護されるでしょう(もちろん、用済みとして粛清されるリスクはありますが……)。
ちなみに醍醐とは仏教用語で、牛や羊の乳を精製する過程で変化していく五味(五段階の味わい)の一つ。発酵が最終段階まで進んだ至高の味わいを指します。
実際の製法については記録が残っておらず、バターかチーズか、それとも飲むヨーグルトのようなものではないかなど諸説あるそうです。
いずれにせよ、江戸時代の人間が日ごろ食べ馴れないものであるがゆえに、毒を盛りやすかったのかも知れませんね。
家基の名を呼び続けた家治の最期
「あやつは天になりたいのよ」
御三卿の一家として、将軍位とその継承者たちの命運をもてあそぶ一橋治済。その本性を見抜きつつも手を打てずに世を去ろうとしていた家治は、養子の徳川家斉(長尾翼)に遺言しました。
「田沼主殿頭は……まとうどの者である。臣下には、正直な者を重用せよ……。正直な者は……世のありのままを口にする。それが……たとえ我らにとり不都合なことでも。政において、それはひどく大事なことだ」
ひとしきり伝えた後、いきなり「家基!」と声を上げ、死の病床から這いずり出した家治。そして傍らに控えていた治済に迫ります。
「家基……悪いのは……父だ。全て……そなたの父だ……(※ここまでが亡き嫡男・徳川家基への詫び言。以下は治済に対する警告)よいか……天は見ておるぞ!天は、天の名を騙るおごりを許さぬ!これからは、余も天の一部となる……。余が見ておることを、ゆめゆめ忘るるな!」
ここまで言い切って、力尽きた家治。前半の詫び言は、嫡男を治済の毒牙より守れなかった自身の不徳について言及したのでしょう。
そして後半は言うまでもありません。しかし治済は何食わぬ顔で「(家斉と家基の見分けもつかないほど錯乱していたとして)おいたわしや」とはぐらかしています。
サブタイトル「我が名は天」とは、つまり治済の驕りと、家治の死をかけていたのでした。


