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任侠道は本当に「武士道」がルーツなのか?江戸時代の無頼者たちの掟と武士の精神

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仁義を切るのも命がけ

任侠の世界では仁義が重視されたが、その象徴ともいえるのが、「お控えなすって」の口上です。

これは、「お控えください。まずは私から自己紹介させてください」という意味の言葉で、訪ねた側から礼儀正しく挨拶をするのが任侠道の作法でした。

この挨拶の形式を「仁義を切る」と呼ぶのはご存じの通り。そしてこの自己紹介の名乗りをいかに淀みなくできるかで、侠客としての力量も問われました。

初対面の親分の前で言い間違えたり、つっかえたりすると袋叩きにされることもあったので、仁義を切る側も必死でした。

身分関係・盃事などの「掟」

また、江戸時代後期になると博徒の集団化が進んでいきますが、そこで重視されたのが、親分子分・兄弟分の関係性でした。

無頼者の組織は、親分と子分という上下の身分関係を中心に構成されています。血のつながりがなくても擬似的な親子関係を築き、さらに子分の間でも兄弟の関係性が構築されました。

親子の縁を結ぶ際には、盃事という、盃を交わす儀式が行われます。これは組織において最も重要で、古くからの作法によって厳粛に行われました。

ほかにも、跡目相続や兄弟盃、和解の盃など、無頼者の世界では盃を取り交わす風習がありました。

また、無頼者の世界には厳格な掟がありました。これは組織の一体性を保持していくためのもので、例えば親分の命令であれば、それがどんなことであっても従うのが子分の役目とされました。

命令に従わない者、重要な行事に参加しない者は不義理とみなされ、場合によっては指詰めの上に破門されたり、簀巻きの川流しとして消されることもあったようです。

参考資料:縄田一男・菅野俊輔監修『鬼平と梅安が見た江戸の闇社会』2023年、宝島社新書
画像:Wikipedia

 

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