拷問の名手・中山勘解由、庶民の英雄・大岡越前~江戸時代の治安を支えたレジェンドたち:3ページ目
フィクションだった大岡裁き
また大岡忠相といえば、明快かつ人情味のある大岡裁きで知られています。大岡の裁判集の総称である「大岡政談」には、大岡裁きのエピソードがいくつも掲載されています。
しかし、実はその中で実際に彼が裁いたものは「白子屋お熊」の一件のみ。それ以外は、中国の古典などにある話を元にした創作がほとんどです。
それだけを聞くと興ざめかも知れませんが、見方を変えればそれくらい「盛って」も世に受け入れられるほど、大岡は庶民にとって懐の深いヒーローとして認知されていたのでしょう。「大岡政談」は江戸の人々の大岡への敬慕を表したものだったのです。
元文元年(1736)、大岡は60歳で1万石の大名格となり、三奉行筆頭の寺社奉行に栄進しました。
ここまでは、中山勘解由の火盗改の活躍と大岡忠相の施策などについて説明しました。【後編】では、根岸鎮衛や遠山景元について詳しく見ていきましょう。
【後編】の記事はこちら↓
江戸の治安を支えたレジェンド〜史実で読む『遠山の金さん』が遺した“庶民を守る裁き”【後編】
【前編】では、中山勘解由の活躍や大岡忠相の施策、「大岡裁き」の真相について説明しました。[insert_post id=252419]【後編】では、根岸鎮衛の有名な「め組の喧嘩」のエピ…
参考資料:縄田一男・菅野俊輔監修『鬼平と梅安が見た江戸の闇社会』2023年、宝島社新書
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