
大河「べらぼう」蔦重と誰袖それぞれの“夢” 〜灰降る日本橋で生まれた奇跡の名シーンを考察【前編】:3ページ目
灰降って自分の“夢” を叶えた蔦重
「鶴屋さん。頂いた暖簾、決して汚さねえようにします!」と目を赤くして決意のほどを告げる蔦重。この場面は、冒頭でもご紹介したように、多くの視聴者が感動し胸を震わせた場面でした。
以前、「日本橋に出店して吉原者を認めさせる」と誓った蔦重ですが、まさか浅間山の噴火がきっかけで、あの気難しい鶴屋との仲が近づき“夢”が叶うとは。
大災害に見舞われたことを逆手に取り、日本橋コミュニティに食い込むために即動くのはさすが「発想力と行動力」にたけている蔦重ならではです。
そんな蔦重のお祭り男ぶりは、頑なな てい の心も動かしました。まだまだ、関係はギクシャクしていて「恋心」とは程遠い関係ではありますが、これからどのように心が通じ合っていくのか楽しみです。
ただ、蔦重が鶴屋からの贈り物「耕書堂」の暖簾を、「ほらほら」と嬉しそうに てい にみせたとき、ニコリともしなかったのが気になります。
以前蔦重は「うちは、丸屋さんの暖簾は残しますよ」と言ってたけれど、「耕書堂」という名前だけにするつもり?と不満を感じたのか。お店が開店して嬉しそうな蔦重の表情とは対照的に憮然とした表情でした。
蔦重の「暖簾は残す」という意味は、そのまま「暖簾に名前を残す」ということではなく、丸屋が培ってきた本屋の商売の格は守っていくという意味だったのか。いずれにしても、この二人の関係と、鶴屋と蔦重の今後の関係も気になりますね。
【後編】では、やはり浅間山の噴火が原因となり、時間をかけてようやく心の中に秘めていた想いが伝わり「夢」が叶った、誰袖と田沼意知の関係について触れてみます。
【後編】の記事はこちら↓
大河「べらぼう」蔦重と誰袖それぞれの“夢” 〜本音と本音が溶け合ったあの名シーンを考察【後編】
6月29日放送のNHK大河ドラマ「べらぼう」第25回・『灰の雨降る日本橋』では、今まで吉原で生活してきた蔦重(横浜流星)と花魁・誰袖(福原遥)の二人が、奇しくも「天明大噴火」という浅間山史上最…