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悪名高い”開拓使官有物払い下げ事件”の真相!実業家・五代友厚は新聞の誤報に翻弄されていた【前編】

悪名高い”開拓使官有物払い下げ事件”の真相!実業家・五代友厚は新聞の誤報に翻弄されていた【前編】:2ページ目

開拓使官有物払い下げ事件とは

五代が批判されることになった発端は、同年の東京横浜毎日新聞の記事です。

それによると、五代が設立した商社・関西貿易社が、開拓使と「約定」して北海道の物産を一手に引き受けることになり、同社の手を経なければ物産が北海道外に出てゆかないような仕組みにしようとしているとのことでした。

こうした構造を踏まえ、新聞は「北海道商業の利益は全国共にするべきだ」などと主張したのです。

しかし、今ではこの記事は明らかな誤報であることが分かっています。

実際には、黒田が払い下げを申し出たものの、採算が合わないため五代が申し出を断っていました。

また、払い下げ先とされたのは黒田の部下の開拓使官吏が関わる会社だったのです。

さらに、五代が関西貿易社を設立したのは、背景に参議の大隈重信が掲げた国の輸出強化策があり、黒田から不当な払い下げを受けることが目的ではなかったともみられています。

政商といえば、私利私欲に走って政府と癒着し金儲けのことばかり考えている……というイメージです。

しかし当時の政商は必ずしもそういう性格だったわけではなく、西洋の脅威と対峙するために国家の行く末を真剣に考えていた者も多くいました。五代もその一人だったのです。

3ページ目 そして政変へ

 

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