手洗いをしっかりしよう!Japaaan

室町時代、足利義満に「皇位簒奪」の野心はなかった!?では義満の本当の野心とは何だったのか?

室町時代、足利義満に「皇位簒奪」の野心はなかった!?では義満の本当の野心とは何だったのか?:2ページ目

「日本国王」はただの肩書き

こうした最新研究の重要な成果として、「日本国王」の称号の解釈が改められたことが挙げられます。

天皇を差し置いて明の皇帝に「日本国王」と認定させたことは、皇位簒奪説の有力な根拠とされました。

しかし、この称号を得たことで義満の政治的地位に影響があった事実はうかがえず、義満が自らの権威の象徴としてアピールした痕跡もありません。

明との貿易は、皇帝から国王の称号を得る朝貢貿易の形でしか成り立ちません。「日本国王」は明との貿易を通じて富の獲得を図った義満の個人的な事業による肩書にすぎず、国家を代表したものではないという認識が近年の研究では進んでいます。

ところで、日明貿易の舞台となったのが、当時は京都の外とされた北山に造営した北山第です。義満はこの地に高僧たちを招き入れ、大がかりな祈禱を行いました。

このことも、義満が宗教界を支配し、天皇固有の権限である祭祀権を奪ったものだと、皇位簒奪説の立場から解釈されてきました。

ただこの説も現在では否定されています。仏教史の緻密な分析から、当時は義満個人の厄払いを目的とした祈禱ばかりが行われており、国家的行事が行われた形跡がないことが分かっています。

3ページ目 義満の本当の目的

 

RELATED 関連する記事