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「凶賊」は実在した!強盗、殺傷、陵辱…江戸の町を震撼させた凶悪犯罪者、真刀徳次郎・葵小僧【前編】

「凶賊」は実在した!強盗、殺傷、陵辱…江戸の町を震撼させた凶悪犯罪者、真刀徳次郎・葵小僧【前編】:3ページ目

鬼平の配慮

ところが、これほど世間を騒がせた凶悪犯罪者であるにもかかわらず、葵小僧についての記録はほとんど残っていません。それは葵小僧が捕縛からわずか10日間で獄門に処されたためです。

このような短期間での一件落着は、江戸時代全期を通じて唯一の例だといえるでしょう。なぜこのような処理がされたのでしょうか。

平蔵は通常の捕縛の場合は慎重に詮議しましたが、葵小僧の事件では多くの性被害者が存在していました。

もしも一つひとつの事件の内容を細かく詮議すれば、女性たちが受けた性被害について公式の記録に残り、いずれ白日の元に晒されてしまうことになります。現代でいうところのセカンドレイプが起きてしまうわけです。

異例のスピード判決は、性被害にあった女性たちにさらなる苦しみを与えないようにという平蔵の配慮によるものだったといわれ、『鬼平犯科帳』でもそのように描かれました。

次回の【後編】でも、長谷川平蔵が関わった盗賊たちを紹介します。

【後編】の記事はこちら↓

強盗、殺傷、陵辱…江戸の町を震撼させた凶悪犯罪者 ~鬼平・長谷川平蔵 最後の事件~【後編】

元・田沼家の家臣を偽る【前編】では、江戸の町を震撼させた盗賊、真刀(神道)徳次郎と葵小僧を紹介しました。【後編】でも、「鬼平」こと長谷川平蔵が関わった他の盗賊を紹介しましょう。※【前編】の…

参考資料:縄田一男・菅野俊輔監修『鬼平と梅安が見た江戸の闇社会』2023年、宝島社新書
画像:photoAC,Wikipedia

 

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