
富本豊志太夫/午之助(寛一郎)とはいったい何者?浄瑠璃・富本節の歴史をたどる【大河ドラマべらぼう】:3ページ目
清元節に受け継がれた富本節
ちなみに富本節の創始に際して松平宗衍から贈られた「長生(老松)」は清元節にも継承(移曲)され、栄能春延寿(さかえのはる・のぶることぶき)の曲名で親しまれています。
他にも多くの曲が移曲されました。
- 四十八手恋所訳(しじゅつはって こいのしょわけ。相撲の段、鴛鴦の段)
- 夫婦酒替奴中中(めおとざけ かわらぬなかなか。檜垣)
- 其俤浅間嶽(そのおもかげ あさまがたけ。浅間、初霞浅間嶽)
- 名酒盛色の中汲(なさけざかり いろのなかくみ。お菊幸助)
- 春夜障子海(はるのよしょうじのうめ。夕霧、翻詞廓文章)
- 十二段君が色音(じゅうにだんきみがいろね。碁盤忠信)
- 幾菊蝶初音道行(いつもきくちょうはつねのみちゆき。忠信、吉野山)
- 新曲高尾懺悔(しんきょくたかおざんげ。高尾)
- 名夕顔雨の旧寺(なにゆうがおあめのふるでら。田舎源氏)
- 花川戸身替の段(はなかわどみがわりのだん。身替りお俊、其噂桜色時)
……等々。
終わりに
今回は寛一郎演じる午之助こと富本豊志太夫について、彼の創始した富本節ともども紹介してきました。
果たしてNHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」では、どのような人物に描かれるのでしょうか。
今から楽しみにしています!
※参考文献:
- 安田文吉 編『富本節の基礎的研究』安田文吉、1996年3月