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鬼平・長谷川平蔵が奉行になれなかった理由。時の老中との微妙な関係が平蔵の運命を分けた【後編】

鬼平・長谷川平蔵が奉行になれなかった理由。時の老中との微妙な関係が平蔵の運命を分けた【後編】:2ページ目

潔癖ゆえの嫌悪感

ご存じの方も多いかも知れませんが、『鬼平犯科帳』の「礼「金二百両」」という話には、火盗改の資金不足を補うために平蔵の妻・久栄が母の形見の櫛を売ろうとするエピソードがあります。

実際、平蔵は資金繰りに悩まされていました。彼は無宿の更生施設である人足寄場の運営資金を補填するために、銭相場で稼いでいたといわれます。

ここで思い出してほしいのですが、当時の老中・松平定信という人は田沼意次時代の賄賂政治を批判し、清廉潔白な政治社会を目指した人でした。

そのあまりの潔癖ぶりから、「白河(松平定信)の清きに魚のすみかねてもとの濁りの田沼(田沼意次)こひしき」と揶揄されたことすらあるほどです。

その定信からは、銭相場で金儲けを行っている平蔵はとても卑しい人物に見えたのでしょう。こうした点が不興を招き、平蔵は奉行まで出世できなかったのです。

3ページ目 そのままにさせておいた

 

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