
前野朋哉「大河べらぼう」で前野朋哉が演じる、当代一の浮世絵師・勝川春章とは何者?その生涯を予習!:3ページ目
私生活と辞世の句
そんな勝川春章は人形町の地本問屋である林屋七右衛門(はやしや しちゑもん)の元に寄寓します。
画印に同店の壺判を用いたことから「壺屋」「壺春章」などとも呼ばれました。
また俳諧を嗜んだそうで、酉爾(ゆうじ。西示とも)のちに宣富(せんぷ、のぶとみ)という俳号で作品を残しています。
また孫に勝川春橋(しゅんきょう)がいるものの、絵を教えたかどうかは分かっていません。
そして寛政4年(1793年)12月4日または12月8日に世を去りました。
戒名は勝誉春章信士(しょうよしゅんしょうしんし)。辞世として以下の句が伝わっています。
枯ゆくや 今ぞいふこと よしあしも
【意訳】今まさに枯れよう(世を去ろう)としているが、死期は来るべくして来るものであり、良い(ヨシ・葦)も悪い(アシ・葦)もない。だから心安らかに逝こう。
善し悪しと葦(ヨシ、アシ)をかけ、死を枯れることにかけながら、潔く旅立つ姿勢を感じられますね。
終わりに
今回は江戸時代を代表する浮世絵師の一人・勝川春章について、その生涯をたどってきました。
蔦屋重三郎とも関係の深い勝川春章の活躍が、ドラマではどのように描かれるのでしょうか。
前野朋哉の名演を、今から楽しみにしています!
※参考文献:
- 小林忠 監修『別冊太陽 浮世絵師列伝』平凡社、2006年1月
- 内藤正人『勝川春章と天明期の浮世絵美人画』東京大学出版会、2012年3月