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農作業が最優先!訴訟の多さにうんざりな鎌倉幕府がとった訴訟の頻発対策とは?『吾妻鏡』より

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訴訟どころじゃない暮らしの厳しさ

……なぜこんな規定が出来たかと言うと、真っ先に「農作業への支障」が挙げられるでしょう。

訴訟に明け暮れる当事者はもちろん、また訴訟に巻き込まれた利害関係者たちも、まともに農作業なんて出来ません(ケースによる程度の差はあれ)。

昔は地域コミュニティのつながりが強いため、訴訟による影響が村落単位になってしまうことも考えられます。むしろ実際にそういう事例があったのでしょう。

何でも力を合わせないと、農作業はもちろん家屋の修繕や災害復旧などもままなりません。コミュニティ内外の対立は文字通り死活問題となりえました。

犯罪者の処断(現代で言う刑事訴訟)など急を要するテーマでなければ、まずは農作業を優先して欲しい。そんな当局の思いが感じられます。

終わりに

今回は鎌倉幕府の公式記録『吾妻鏡』より、訴訟に関する規制事例を紹介しました。

果たして西収以降、どっと訴訟が巻き起こったのか、それとも農作業の忙しさで訴訟する気持ちも失せてしまったのでしょうか。

こうした司法や法律関係の記録って、意外とその裏に人間味がにじみ出ていて面白いですよね。

また面白いエピソードがあったら、紹介したいと思います!

※参考文献:

  • 五味文彦ら編『現代語訳 吾妻鏡 13 親王将軍』吉川弘文館、2013年5月
 

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