「刀伊の入寇」で藤原隆家の指揮下で活躍した武者・大蔵種材(朝倉伸二)の武勇伝【光る君へ】:2ページ目
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刀伊の入寇で逃げる敵を追撃
かくして放免された種材は、大宰大監(~だいげん。大宰府の三等上官)に昇任します。
殺人事件の影響はほとんどなかったのでしょうね。あるいは在地の有力者だから、外すに外せなかったのかも知れません。
そんな中で刀伊の入寇に直面。種材は大宰権帥・藤原隆家の指揮下で刀伊の軍勢を迎え撃ち、大いに武功を立てました。
「賊どもが逃げていくぞ!」
刀伊の軍勢が退散する中、種材は筑前守で大宰少弐(だざいのしょうに。大宰府の二等下官)であった源道済(みちなり)に追撃を進言します。
「今こそご下知を!」
「そうは申しても、まだ支度が整わぬ」
「ならば我れ一人にても参ります!」
種材はわずかな手勢を率いて追撃に出ますが、敵の逃げ足が速くて取り逃してしまいました。
それでも種材の敢闘精神は高く評価され、戦後の論功行賞にて壱岐守に任じられたということです。
終わりに
それからというもの、種材がどのように暮らしてどんな最期を遂げたのか、詳しいことは分かっていません。
なお刀伊の入寇から200年ほど経って、元寇の際に水軍を率いて元軍と戦った女将・大蔵太子(たかこ/ふとこ)は大蔵種材の子孫と考えられます。
また刀伊の入寇から900年近くの歳月を越えた大正4年(1915年)、種材は従四位を追贈されました。
異民族の侵略から日本を守った功労者として、日本政府は高く評価したのです。
NHK大河ドラマ「光る君へ」では、朝倉伸二がどんな大蔵種材を演じてくれるのでしょうか。今から楽しみですね!
※参考文献:
- 繁田信一『王朝貴族の悪だくみ 清少納言、危機一髪』柏書房、2007年10月
- 関幸彦『刀伊の入寇 最大の対外危機』中央公論新社、2021年8月
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