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決して「軍部の操り人形」ではなかった昭和天皇。日本軍のまっとうな統率者としての実像とは

決して「軍部の操り人形」ではなかった昭和天皇。日本軍のまっとうな統率者としての実像とは:2ページ目

最優先事項は「天皇制の維持」

昭和天皇が軍部をきちんとコントロールした上で、対外的な軍事作戦にも理解を示していたのには、天皇制を維持したいという思いがあったのではないか、という指摘があります。

彼は青年時代に欧州を外遊し、第一次世界大戦の被害が色濃い各国をじかに見ました。これにより、天皇は戦争の悲惨さを痛感したのです。

昭和天皇が欧州外遊で実感したのは、平和の尊さだけではありません。敗戦国の王族が力を失い、帝政が崩壊した現実も目の当たりにしました。

もしも日本が欧米諸国との戦争に負ければ、皇室が厳しく処分されるのは必須です。事実、戦後のアメリカ世論は昭和天皇への厳しい処分を求めていました。だからこそ、降伏する際に譲歩を引き出せるよう、昭和天皇は軍部の戦果拡大を容認したのではないか、という説もあるのです。

実際、戦争末期には政府も軍部も、降伏するとしても天皇制の維持を優先すべきだと考えていました。その意味では、天皇・政治家・軍人の思惑は根本で一致していたと言えるでしょう。

今の時代からは想像もつきませんが、日本の秩序維持のためには天皇制は欠かせないものだったのです。

3ページ目 ターニングポイントは沖縄戦

 

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