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「鎌倉殿の13人」ついに始まる最終決戦“承久の乱”!第47回放送「ある朝敵、ある演説」予習【後編】

「鎌倉殿の13人」ついに始まる最終決戦“承久の乱”!第47回放送「ある朝敵、ある演説」予習【後編】

「大きくなったな、寿王よ!」

現れたのは、光綱の烏帽子親(元服に際して成人の証しである烏帽子を被せる役)を務めた佐々木高重(ささき たかしげ。弥太郎)。彼は佐々木経高(演:江澤大樹)の息子で、頼朝の死後冷遇されて父子ともども官軍に与していました。

「弥太郎殿!烏帽子の親子とて絆を結びながら、こうして敵味方となった以上、贈り物はお返しいたします!」

そう言って元服の祝いに高重から贈られた矢を弓につがえ、力いっぱい射放ちます。果たして矢は高重の鎧に命中。しかしまだ力が弱く貫通はしていません。

「あぁ、何と立派に成長したことだろう。我が烏帽子子(えぼしご)よ、烏帽子の父として、これほど嬉しいことはないぞ!」

子は親を乗り越えて(その心意気を見せて)こそ最大の孝行。感涙にむせぶ高重の姿にもらい泣き、敵も味方も合戦どころではなくなったとか。

しかし善戦むなしく衆寡敵せず、ついに伊賀勢は光季親子と贄田兄弟だけになってしまいました。

まずは「冥途の露払いを務めましょう」とばかり贄田三郎が自害、四郎が防いでくれている間、伊賀親子が腹を切ろうと支度します。

「父上……」

「……怖いか。そりゃ無理もない。ならば火に飛び込め。腹を切るよりは楽やも知れぬ」

そこで光綱は燃え盛る火に向かいますが、どうしても身体がのけぞって飛び込めません。

「ちちうえ……」

「……大丈夫だ。では、こっちへおいで」

光季は光綱を抱きしめると、やさしく語りかけました。

「本当はそなただけでも生き延びてもらい、母上の幸せを守って欲しかった。でも、そなたは『父上と共に戦う』と言ってくれた。父として、これほど嬉しいことはない。立派な勇士として成長したそなたを見届けられたのだから」

こうして光季は我が子の首を掻き切って殺し、その亡骸を燃え盛る火中へ放り込みます。そして東の方角を向いて合掌拝礼。

南無帰命頂礼鎌倉八幡大菩薩若宮三所(※)。我が身命を投げうって権大夫(義時)の武運長久を祈願し奉る……」

(※)なむきみょうちょうらいかまくらはちまんだいぼさつわかみやさんしょ:鶴岡八幡宮におわす八幡大菩薩ら三柱の神々(応神天皇・神功皇后・比売神)にひれ伏して心よりお祈り申し上げる意。

続いて今度は西の方角へ向き直ります。

南無西方極楽教主阿弥陀如来(※)。生きとし生けるすべての魂を救わんと願われる思いがまことであるなら、どうか我らも極楽浄土へ迎えたまえ……」

(※)なむさいほうごくらくきょうしゅあみだにょらい:現世よりはるか西の彼方にある極楽浄土で衆生を教え導かれる阿弥陀如来様、の意。

念仏を三十度ばかり唱えて、これで死出の支度はととのいました。

「義時、後は任せた。我らが仇をとってくれ……っ!」

ついに光季は腹を掻っ捌き、先ほど放り込んだ光綱の遺体にかぶさって果てます。それを見届けた贄田四郎も抵抗をやめ、自刃して果てたのでした。

3ページ目 「みんな聞いて!」政子の演説に、奮い立つ坂東武者たち

 

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