「鎌倉殿の13人」実朝、まさか日本脱出!?第42回放送「夢のゆくえ」予習:3ページ目
実朝「子孫を残さない」宣言に動揺走る
後鳥羽上皇に忠義を尽くす実朝は、とうぜん朝廷からの評価も高く、順調に昇進していきました。むしろ順調すぎて怖いくらいです。
古来「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」と言うように、これを心配するのが義時と大江広元(演:栗原英雄)。
「亡き右大将家(頼朝)は運を使いきってしまわぬよう、官位を辞退してきたというのに、今の鎌倉殿は分不相応な官位を望んでおいでだ。私の意見には耳を貸して下さらないので、大江殿から何とか言っていただけませぬか」
「まったく、私も日ごろ悩んでおりました。右大将家は我らに意見を求めて下さったというのに、今ではそういうこともありません。今回小四郎殿から相談をいただいたキッカケに、申し上げてみようと思います」
「かたじけない。分不相応な身分は必ずや子孫に報いがめぐるものですから、そうならないよう願うばかりです」
晴。廣元朝臣參御所。稱相州中使。御昇進間事。諷諌申。須令庶幾御子孫之繁榮給者。辞御當官等。只爲征夷将軍。漸及御高年。可令兼大將給歟云々。仰云。諌諍之趣。尤雖甘心。源氏正統縮此時畢。子孫敢不可相繼之。然飽帶官職。欲擧家名云々。廣元朝臣重不能申是非。即退出。被申此由於相州云々。
※『吾妻鏡』建保4年(1216年)9月20日条
「……という事ですので、どうか官位を求められるのはほどほどに……」
勇気を出して諫言した広元でしたが、実朝はこれを拒否。その言い分はといいますと……。
「そなたや小四郎の申す事、確かにもっともである。ただし源氏の血統は私の代で終わるのだ。鎌倉殿を継ぐ子孫はいない。なのでせめて名誉を残しておこうと分不相応な官位を求めているのだ」
まだ20代の若さで「子孫がいない」と断言するのは、子孫を「残す気がない」意思表示。
(御家人たちの権力抗争に巻き込まれるくらいなら、源氏の血統など絶やしてしまえ)
いくら静かに心安らかに暮らすことを願っても、それが叶わないのは源氏の血統ゆえ。実朝の断固たる決意を前に、広元はそれ以上何も言えなくなってしまうのでした。
この辺りから、実朝に養子を迎え(させ)る話が浮上してきたものと考えられます。