東京国立博物館が所蔵する、水墨画家・雪舟(せっしゅう)の3作品をVR映像として鑑賞する『雪舟 ―山水画を巡る―』が初公開されます。
本VR作品では、国宝「秋冬山水図」と重要文化財「四季山水図」をVRやアニメーションとして再構成することで、掛け軸に描かれた山水画の中に入り込むような体験を可能にしています。また、国宝「破墨山水図」の筆運び順を解析し、雪舟による描画の全工程を映像再現しています。
これらの新しい鑑賞体験に、室町時代に活躍した水墨画の巨匠・雪舟の足跡を交えながら、分かりやすく筆者と山水画の魅力を紹介します。
雪舟の山水画3作品を高精細データでアーカイブ
東京国立博物館監修のもと、高精細撮影により、国宝「破墨山水図」(約4億画素)、国宝「秋冬山水図」(約1.2億画素×2幅)、重要文化財「四季山水図」(約9.2億画素×4幅)のデジタルアーカイブを実施。その中でも、絹本(絹地の作品)の重要文化財「四季山水図」は、アーカイブデータを拡大すると、絹糸一本一本が縦横に渡る様子や、修復の跡などを確認することができます。
山水画に入り込むような新しい鑑賞体験
雪舟作品の一つの特徴として挙げられるのが力強い墨の線で構築された大胆な構図です。本VR作品では、国宝「秋冬山水図」と重要文化財「四季山水図」の岩や山の遠近関係等を3DCGやアニメーションとして分かりやすく再構成。本来は鑑賞者の想像力により、描かれたその地を巡り山水風景を楽しむ、中国古来の「臥遊」という鑑賞形態を、300インチの巨大スクリーン映像で、掛軸に描かれた山水画の中に入り込むような臨場感あふれる体験を提供します。
雪舟の筆運び順を再現
国宝「破墨山水図」は、比較的筆を早く走らせて描かれた作品だと考えられています。本VR作品の製作にあたり、現代水墨画家の浅見貴子氏と共同で、画家視点による構図や身体感覚の考察と、高精細アーカイブデータの分析の掛け合わせによる同作品の筆運び順の解明に挑戦。雪舟による描画の全工程を映像再現しています。
また、上演期間中は2022年10月18日(火)から東京国立博物館 平成館にて開催される、東京国立博物館創立150年記念 特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」や同館の総合文化展で、本VR作品に登場する全ての実物作品をあわせて鑑賞することができます。
VR作品『雪舟 ―山水画を巡る―』は2022年10月19日(水)~12月25日(日)の期間、東京国立博物館東洋館地下1階 TNM & TOPPAN ミュージアムシアターで上演されます。