ついに、この時が来てしまいました。
鎌倉時代、北条義時(演:小栗旬)を主人公とした物語を描くなら、決して避けては通れない畠山重忠(演:中川大志)の最期。
その死と潔白によって義時は父・北条時政(演:坂東彌十郎)の限界を確信。そして権力を奪取、鎌倉から追放する覚悟を決めたのでした。
NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」第36回放送は「武士の鑑」。畠山重忠の花道を飾るに相応しいサブタイトルは、彼と真逆の道を歩いてきた義時に覚悟を突きつけます。
「本当に鎌倉のためを思うなら、あなたが戦うべき相手は」
それでは今回も、さっそく振り返っていきましょう。
「誰が戦などしたいものか」重忠の叫び
前回、時政が源実朝(演:柿澤勇人)を騙して書かせた下文により、事態は畠山追討に動き出してしまいます。
どうにも気乗りがしない和田義盛(演:横田栄司)。とは言え執権に逆らえば次がありません。
何とか鎌倉へ呼び出して和解を図る義時でしたが、一方で時政は稲毛重成(演:村上誠基)に命じて畠山重保(演:杉田雷麟)を鎌倉へ呼び出し、三浦義村(演:山本耕史)がこれを討ち取ってしまいます。
嫡男を騙し討ちにされたことを知った重忠は覚悟を決め、潔白を示すため鶴ヶ峰に布陣。最期の戦いに挑むのでした。
それでも何とか合戦を避けようと、まずは永年の戦友として義盛が重忠の説得に向かいます。しかし交渉は決裂。ここで北条に屈すれば、末代まで畠山の家名を汚してしまうからです。
「誰が戦などしたいものか!」
国許に愛妻・ちえ(演:福田愛依)を残し、何の大義もなく徒らに命を棄てたい者など、どこにいるでしょうか。
その一方で、自らの手は血に染めず「あの一族を滅ぼして!」と声高に叫ぶ鎌倉の女性たち。戦う覚悟のない者ほど、やれ戦えとことさらに煽り立てるものです。
最前線で命のやりとりをする身としては何ともやるせない限りですが、事ここに至っては開戦やむなし。義時は心ならずも重忠を謀叛人として全軍に追討を命じたのでした。
「後は正々堂々、戦で決着をつけよう」
重忠の覚悟を受け入れた義盛の、実に悲しそうだけど嬉しそうな表情。あれは坂東武者として「同じ匂い」を嗅いでのものだったのでしょう(そう言えば、壇の浦で入水する平家方に手を合わせていたのもこの二人でしたね)。
あと、瓢箪の中身が酒じゃなく水だったのは、もしかして永年の戦友と別れの水盃を交わしたのかも知れません。