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「鎌倉殿の13人」頼家&善児ロス続出、そしてがんばれ泰時…第33回放送「修善寺」振り返り

「鎌倉殿の13人」頼家&善児ロス続出、そしてがんばれ泰時…第33回放送「修善寺」振り返り

頼家を取り巻く大人たち

「わしを忘れぬよう、こうして喧嘩を売ってやるのよ」

修善寺でそう嘯く頼家。しかし使者に訪れた義村は相手にしません。

かつて石橋山の合戦で敗れ、生死をさまよいながら2ヶ月足らずで鎌倉入りを果たした亡父・源頼朝(演:大泉洋)の再現を夢見るものの、時代も状況も違います。

鎌倉殿の権威・権力が御家人たちの忠誠あってのものと知っていれば、そもそもこんな事にはなっていなかったでしょうが。

「この先何十年、猿楽くらいしか慰めもないまま暮らすことを考えれば、華々しく散るのも悪くはないかも知れません。おやりなさい」

そうけしかけるものの、声と態度には「そうやって一生駄々をこねてろ」と言わんばかりの本音が透けて見えます。

対する政子は頼家の好物であるアワビの干物を山ほど……それはもう山ほど。いくら何でも多すぎでしょう。義時&泰時父子の茸と言い、北条ファミリーは贈り物を山盛りにするのが好きなようです。

門前払いにされても「頼家の身になれば当然のこと」「元気とわかればそれで充分」などと健気すぎる態度を見せていました。

誰もが見捨てた頼家を、ただひとり最後まで愛し続けた政子の姿は、かつて危篤に陥った頼朝に対しても同じでしたね。

ところで気になった亡き一幡(演:相沢壮太)とせつ(演:山谷花純)の遺骨。骨壺に貼られた名札が哀れを誘いますが、内心「その遺骨、本当に本人のものですか?適当に犬の骨でも渡されていませんか?」と勘繰ってしまうのは、きっと筆者だけではないはずです。

がんばれ泰時

「鎌倉を追い出し修善寺に閉じ込め、それでもまだ足りぬというのですか!」

近ごろ父のやり方に納得いかず、全力で抗議を続ける北条泰時(演:坂口健太郎)。一度は殴りつけていた義時ですが、かつての自分を見ているようでなかなか留めきれません。

15年ぶりに再会した運慶(演:相島一之)から「悪い顔になったな」と図星を射られ、その迷いを指摘された時の表情は、なかなかに絶妙でした。

善児が持っていた兄・北条宗時(演:片岡愛之助)の遺品からすべてを悟りながら、「善児を責められようか」と漏らしたセリフにも、その葛藤が表れています。

悩む兄を見て、北条時房(演:瀬戸康史)は「私は泰時と逆でありたい」と汚れ役を引き受ける決意を伝え……たものの、義時は聞いていません。でもこれが後に連署(れんしょ。執権を補佐する役職)として泰時を支える原点となったのでしょう。

さて、父たちの暗殺計画を伝え、逃げるように訴えた泰時。「北条の者には誰とも会わない」と頑なになっていた頼家ですが、泰時の真正直なところだけは信じていたようです。

しかし頼家は逃げません。結局殺されるなら、正々堂々戦って死のうと覚悟を決めた姿はまさしく武家の棟梁でした。

果たして京都から呼んだ猿楽一座の中に紛れ込んだ善児(笛を吹いているはずなのに、指がまったく動いていない)を見抜き、頼家を守るべく立ち向かった泰時。しかし力量の差はいかんともしがたく、トウにぶっ飛ばされてしまいます。

泰時を助けようと加勢に入った鶴丸(演:きづき)もまとめてぶっ飛ばされてしまい、気がついたら頼家は既に殺された後でした。

誰もいない舞台でただ独り転がる姿は、後に衆人環視の中で討たれる実朝と対照的。頼家を守れなかった無力感にむせび泣く泰時に、声援を送らずにはいられません。

後に承久の乱で総大将として勝利をつかみ、名執権となるまでの道のりはまだまだ遠いのでした。

4ページ目 終わりに・第34回放送「理想の結婚」

 

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