燃え盛る炎の中で…北条義時の義兄弟・伊賀光季の壮絶な最期・後編【鎌倉殿の13人】:4ページ目
エピローグ
……光季、昨日マデハ鎌倉殿ノ御代官トシテ、都ヲ守護シテ有シカバ、世ノ覚へ時ノキラ肩ヲ双ル人モナシ。宿所モ宮殿楼閣ミガキシカ共、今日ハ片時ノ灰儘トナリ、セバキ名ヲ耳残シケルコソ哀ナレ……
※『流布本 承久記より』
【意訳】昨日までは鎌倉殿の代官として京都守護職の任にあり、権勢を極めていたのに、今日はその館も灰燼に帰した。今となっては名誉ばかりが人々に伝えられ、無常を感じずにはいられない。
かくして伊賀光季主従は全滅し、朝廷方は焼け跡から焦げた首級をめいめい持ち帰っていきました。
ここに承久の乱は幕を開け、京都からの急報を受けた北条義時は、和戦の決断を迫られることになります。
それにしても伊賀父子の深い情愛と寿王のけなげさ、そして敵となりながら寿王の成長を喜ぶ佐々木高重の感動は、現代でも共感できる方が多いのではないでしょうか。
現在放送中のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」でも、是非とも演じていただきたい名場面。今から楽しみにしています。
【完】
※参考文献:
- 上田正昭ら監修『コンサイス日本人名辞典 第5版』三省堂、2008年12月
- 矢野太郎 編『国史叢書 承久記』国史研究会、1917年6月