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「鎌倉殿の13人」奥州を滅ぼしたい頼朝、何とか止めたい後白河法皇…第21回放送「仏の眼差し」予習

「鎌倉殿の13人」奥州を滅ぼしたい頼朝、何とか止めたい後白河法皇…第21回放送「仏の眼差し」予習

裏切られ、非業の最期を遂げた藤原泰衡の首級

それからも鎌倉方は連戦連勝、ついに平泉を攻略してどんどん泰衡を追い詰めていきます。

泰衡の家臣らは次々と脱走や投降が相次ぎ、ついに文治5年(1189年)9月3日、家臣の河田次郎(演:小林博)に討たれてしまいました。

逃げ込んできた泰衡を安心させておいて……からの騙し討ち。よくある展開ですね。

「押領使(泰衡)が首級はこれなるぞ……鎌倉殿へお目通り願いたい!」

首級を手土産に頼朝の陣中を訪ねた河田次郎は、梶原景時に首級をあずけ、義盛と重忠に首実検をさせます。

「……間違いございませぬ」

捕虜にしていた赤田次郎(あかだ じろう)に確認させ、確かに泰衡の首級であることを確信した頼朝は、景時を通じて河田次郎に伝えました。

「そなたの振る舞いは一見功あるように見えるが、陸奥押領使(泰衡)の命はすでに我が掌中なれば、そなたの力を借りるに及ばなかった。むしろ代々の恩義を忘れて主君を裏切った罪は極めて重い。よって斬刑に処す!」

かくして河田次郎は処刑され、また泰衡の首級はかつて前九年の役において安倍貞任(あべの さだとう)の首級をそうしたように、八寸の鉄釘で打ちつけたと言います。

八寸と言えば一寸が約3センチなので約24センチ、頭の奥行きが人によって違うものの、額から後頭部までだいたい24センチ(参考:筆者の頭)。これだと柱に固定できません。

なので八寸という寸法が正しい(八≒とても長いなどの意味でない)のであれば、こめかみからこめかみ(側頭部)を貫通したのでしょうか。その距離なら15センチ(参考:筆者の頭)なので、釘の先端が柱に届きます。

後はその食い込んだ9センチの部分で4~5キロあると言われる首級(成人男性の頭部)の重量を保持できるか、という問題があるものの、よく鍛えた和釘であれば問題なさそうですね。

ちなみに、なぜ頼朝が故実にこだわったのかと言えば、かつて頼朝の5代祖先である源頼義(よりよし)が奥州を平らげた名場面を再現したかったとか。

泰衡を討ち取る場所も、出来ればかつて頼義が貞任を討ち取った厨川あたりにしたかったそうで、かなりの余裕をかましていたようです。

かくして4代にわたり栄華を誇った奥州藤原氏は滅亡。頼朝は葛西清重を奥州総奉行に任命して鎌倉へと凱旋していったのでした。

終わりに

以上、第21回放送「仏の眼差し」の予習として奥州征伐の一部分を紹介してきました。

他にも運慶だけでなく八田知家(演:市原隼人)が初登場。傷心の大姫(演:南沙良)そして八重の運命やいかに……。

相変わらず予測不可能な展開が続く「鎌倉殿の13人」、次週放送が楽しみですね!

※参考文献:

  • 五味文彦ら編『現代語訳 吾妻鏡 4奥州合戦』吉川弘文館、2008年9月
  • 関幸彦『東北の争乱と奥州合戦』吉川弘文館、2006年11月
 

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