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「鎌倉殿の13人」奥州を滅ぼしたい頼朝、何とか止めたい後白河法皇…第21回放送「仏の眼差し」予習

「鎌倉殿の13人」奥州を滅ぼしたい頼朝、何とか止めたい後白河法皇…第21回放送「仏の眼差し」予習

藤原国衡の最期と、畠山重忠の将器

さて、奥州へ進撃する頼朝たち。時は文治5年(1189年)8月9日、明日は阿津賀志山を越えて藤原泰衡・藤原国衡(演:平山祐介)らとの決戦です。

「殿、一大事にございます!」

畠山次郎重忠(演:中川大志)の元へ郎従が駆けつけて報告するには、先ほど夜陰に乗じて七騎が抜け駆けを図ったとのこと。

その顔ぶれは三浦義村(演:山本耕史)、葛西清重(かさい きよしげ)、工藤行光(くどう ゆきみつ)、工藤祐光(すけみつ)、狩野親光(かのう ちかみつ)、藤沢清近(ふじさわ きよちか)、そして河村千鶴丸(かわむら せんつるまる)。

「此度の先陣を仰せつかったのは殿にございます。今すぐにも彼奴らを引きとどめましょうぞ!」

今すぐにも飛び出しそうな郎従を、重忠は大らかになだめます。

「その必要はない。誰が抜け駆けしようと、すでに先陣を承った以上、合戦前に何があろうとその武功はすべて我れに帰するものぞ」

「理屈ではそうでしょうが……」

「また、せっかくやる気になっている味方の足を引っ張るのは武士にあるまじき振る舞い。手柄が欲しければくれてやれ、ここは見逃すがよい」

「ははあ」

かくして見逃された七騎それぞれ武勇を奮ったのですが、それはまた別の話し。

……さて、夜が明けて8月10日。阿津賀志山を超えた鎌倉方は、国衡との決戦に臨みました。

両軍激戦を繰り広げる中、次第に敗色濃厚となった泰衡が戦線離脱。国衡も逃げ出そうとしたところ、和田義盛に呼び止められます。

「そこにおわすは西木戸太郎(国衡)殿か、引き返して矢合わせせん!」

「おう、やらいでか!」

ここで背を向けては名が廃る……馬首を返した国衡は義盛に向かい十四束の矢をつがえました。

「遅い!」

義盛の射放った十三束の矢は国衡の射向袖(いむけのそで。矢を射る時に敵へ向ける袖=鎧の左大袖)を貫通してその腕に命中します。

「手ごたえあり!」

さぁ次の矢でとどめ……と思った次の瞬間、畠山重忠の軍勢が乱入。重忠の烏帽子子(えぼしご。元服に際して烏帽子をかぶせた義理の息子)である大串重親(おおくし しげちか)がたちまち国衡の首級を掻き上げたのでした。

「おぉ、よくやった。さすがは次郎(重忠)……」

重親から国衡の首級を受け取った重忠が、それを頼朝に献上。お褒めの言葉にあずかっていると、義盛が異議を唱えます。

「お待ちくだされ、西木戸太郎を射たのは我が矢であって、畠山殿ではございませぬ。証拠もございます」

義盛は自分が国衡を射止めた状況はもちろん、国衡の鎧から矢を射通した位置、馬の毛並みまで詳しく話しました。

確かめてみると、確かに義盛の証言どおり鎧は紅縅(くれないおどし)、射向袖の二三枚目(上から2~3段目)に鑿でえぐったような大穴が開いています。

「なるほど。偽りではなさそうだ……次郎、そなたは矢を放ったか」

頼朝が尋ねると、重忠はハッキリ「射ておりませぬ。ただ大串より首級を受け取り、これを献上したまで」と返答。

並の者であれば、手柄を奪られまいと「これはそれがしの射た矢である」などと言い張るであろうところを、重忠は「手柄が欲しくばくれてやろう」と実に潔い態度を見せます。

さすがは畠山殿……この件をもって、重忠はますます声望を高めたということです。

……大河ドラマでは重忠も国衡も義盛も登場しているので再現は可能でしょうが、果たしてやってくれるでしょうか。是非ともやって欲しいところですが、果たして……。

4ページ目 裏切られ、非業の最期を遂げた藤原泰衡の首級

 

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