偉人かはたまた人格破綻者か…やっぱりいろいろスゴいぞ!野口英世:2ページ目
「借金大王」野口英世!
こうした進路の過程で資金を得ることができたのは、彼の巧みな話術と、不自由な左手によって同情を買うことができたからです。それはそれで彼の特異な能力で、この天才的な「借金大王」ぶりは終生変わることがありませんでした。
おそらく英世は、天才詐欺師としての才能も備えていたと思われます。
ここまでで「借金」と何度か書きましたが、実際には彼が借金として得たお金は、たかりや詐欺まがいの形で得たものも多いのです。
しかし彼の勉学に対する情熱と頭脳の明晰さは本物で、本業である医学や細菌学のみならず、通訳もこなせるほど、複数の語学にも通じていました。それほどの才覚のある人間なら、なるほど投資しようという人がいるのも頷ける話です。
さて、合格した彼は北里研究所の研究員となり、在籍時に来日したジョンズ・ホプキンス大学のサイモン・フレクスナー教授のつてでアメリカへ渡航することが決まります。
で、渡航資金として得たお金を、彼は遊郭で使い果たしてしまいます。しかもこれは結婚詐欺まがいの手口で得たものだった上に、よりによって一晩で使い果たしたのだからすごい話です。一体どんな遊び方をすればそんなことになるのでしょう。
そんな野口のために、血脇守之助は高利貸から借金までして資金を調達。野口は何とかアメリカにたどり着きました。
アメリカでは、紆余曲折ありながらもロックフェラー研究所に所属し、在籍時には細菌の一種である「梅毒スピロヘータ」の純粋培養に成功するなどの業績をあげています。
当時これは偉業と言えるもので、これで野口の名声は国際的に高まりました。
これが野口の人生の絶頂期でした。彼は名声を得て一時帰国を果たし、母とのひとときを過ごしたり国内各地で講演したりします。まさに彼にとっては凱旋帰国でした。