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男心をまんまと手玉に…平安文学『伊勢物語』が描く、やんごとなき男女の恋愛ゲーム

男心をまんまと手玉に…平安文学『伊勢物語』が描く、やんごとなき男女の恋愛ゲーム

今も昔も恋愛とは難しいもので、ひとたびモノにした相手であっても、それがいつまでも続く保証はありません。

結婚すればずっと一緒だと思っても、共に暮らす互いの思いは愛情に近く、とかく恋愛とは不安定なもの、むしろ不安定だからこその恋愛とも言えそうです。

今回は平安文学『伊勢物語(いせものがたり)』より、とある男女の恋愛模様を切り取った一場面を紹介。

何だか現代のトレンディ・ドラマを観ているようかのごとく刺激的なやりとりに、思わず共感する方も少なくないのではないでしょうか。

下紐を一人でほどくなんて……

今は昔、ある男性が恋多きことで知られる女性と一夜を共にしました。

「……それじゃ、また今夜」

そうは言ってみたものの、彼女の心は離れてしまうかも知れない。男性は不安な気持ちをこう詠んで贈ります。

我ならで 下紐とくな あさがほの 夕影またぬ 花にはありとも

【意訳】私以外の者に下着の紐を解かせてはいけませんよ。朝顔は夕方までにしおれてしまう花だけれども……。

朝顔が夕方までにしおれてしまうように、きっとあなたも、今夜私が訪れるまでに心変わりしてしまっていることでしょう。

要するに「浮気するなよ!」と言いたいのですが、これに女性は返歌を詠んで贈ります。

2ページ目 あなたと二人で結んだこの下着の紐を

 

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