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平家の落武者伝説がここにも…高知県に伝わる300年以上の奇祭「早飯食い」とは?

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さて、神事が執り行われた後に一人一杯の茶碗飯が配られ、合図と共に味噌と湯を入れて一斉に掻きこみます。

「味噌!味噌!味噌!」

「湯!湯!湯!」

少しでも早く完食するため、例年であれば味噌や湯を求めるかけ声で賑わうのですが、新型コロナウィルス感染防止のため、人数は制限され、かつ無言で手を上げて知らせる方式になりました。

早い人だと15秒ほどで完食してしまうそうで、胃袋はもちろんのこと、喉が驚いてしまいそうですが、残さず食べることが作法であり、やはりお米を作ってくれた方への感謝を忘れてはいません。

かつての賑わいが戻ることを待ち望みながら、令和3年(2021年)も伝統が受け継がれていったのでした。

終わりに

ご飯は味わって食べてこそ、その命はもちろんのこと、作ってくれた人への感謝につながる……だから一口々々じっくり噛みしめ、時間をかけるという考えには一理あります(健康のためにはその方が絶対にいいです)。

しかし、食事の中には「搔っ込んで食うのが一番美味い」状況もあり、例えば私事で恐縮ながら、戦闘訓練中に警報が鳴り、急いで配置につく直前に38秒で空にした鉄板(※)の味は、今でも忘れられません。

(※)艦艇の食器は、配膳やメンテナンスに都合がよい金属製のワンプレートになっており、転じて食事を指します。

もう少し身近な例で言えば、盛り蕎麦だってズガッとたぐる(すすり込む)から空気と汁と蕎麦の風味が調和して美味いのであって、これをモソモソと噛みしめていたら、かえって蕎麦に申し訳ありません(もちろん、いくらかは噛みますが)。

じっくりと噛みしめる味わい方があれば、一気に掻っ込む味わい方もある……食事の喜びや有難みに価値観の幅を広げてくれる、そんな機会の一つとして、これからも「早飯食い」が受け継がれていってほしいですね。

※参考:

 

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