世が世であれば…男に騙され、売り飛ばされた没落華族・松平義子の悲劇:3ページ目
終わりに
以上、松平義子の生涯を駆け足で紹介してきましたが、その末路に世の無情さを感じずにはいられません。
いわゆる上流階級から転落した者は庶民から冷遇され、時には敵視されながら、その多くが時代の激流に淘汰されていきました。
ちなみに華族の系譜をまとめた『華族大系』では信安の子供たちは一切その名が消され、信安の兄・松平信庸(のぶつね。義子の伯父)の子である松平信恭(のぶやす)が家督を継承。その血脈を後世に伝えています。
※参考文献:
- 堀江宏樹ら『乙女の日本史』東京書籍、2009年7月
- 水野慶次 編『華族大系』系譜社出版部、1914年5月