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もうおしまいだ…没落士族の悲哀を描いた明治時代の歌舞伎「水天宮利生深川」を紹介

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終わりに

……以上が「水天宮利生深川」の筋書きで、このアイディアは作者の河竹黙阿弥(かわたけ もくあみ)が、筆の行商にやって来た没落士族の哀れな姿と、自宅の裏に住んでいた母親が発狂して自分の赤ん坊を川に投げ込んだ事件をヒントにしたそうです。

初演は明治18年(1885年)、劇場近くに水天宮(中央区日本橋蛎殻町)があったため、それに当て込んだと言われています。

明治時代に入って武士たちが食い扶持を失い、生活に困窮していた様子をはじめ、大きく移り変わる世相を描き、現代に伝える散切物。

常に時代の風を吹き込む歌舞伎界では、近ごろスーパー歌舞伎(昭和末期~)も話題となっており、当時の人々もそのような感覚で楽しんでいたのかも知れませんね。

※参考文献:
今尾哲也『歌舞伎の歴史』岩波新書、2000年3月
河竹黙阿弥『明治文学全集9 河竹黙阿彌集』筑摩書房、2013年1月

 

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