英雄も命が惜しい?天下無双の戦国武将・本多忠勝が三度も「死にたくない」と言った本意:3ページ目
エピローグ「もっと生きて、ご奉公したい」
以上を踏まえて、忠勝の詠んだ辞世がこちら。
「死にともな 嗚呼死にともな 死にともな
深き御恩の 君を思えば」【意訳】
死にたくない あぁ死にたくない 死にたくない
深き御恩を下さった あなたのことを思うと
何の予備知識もなく、ただこの辞世だけ見ると「何と情けない泣き言を……」と思ってしまいそうですが、これを天下に隠れなき豪傑・本多忠勝が詠んだとなれば話は違います。
「まだだ!まだ足りぬ!上様(家康)から受けた御恩を返すには、もっと生きてご奉公せねばならんのに、今ここで死んでしまったら悔いが残る!」
更には「離れ離れなんて嫌だ!もっと上様のお側にいたい!もっともっとご奉公して、上様に褒めてもらいたい!」という思いもにじみ出してくるようで、忠犬にも喩えられた三河武士らしい一首と言えます。
どこまでも家康一筋に仕えた忠勝は、きっと後からあの世にやって来た家康を熱烈歓迎し、それこそ犬のように喜びはしゃいだことでしょうね。
※参考文献:
歴史の謎研究会 編『刀剣・兜で知る戦国武将40話』青春文庫、2017年11月
結城凛 編『歴史ミステリー 日本の武将・剣豪ツワモノ100選』ダイアプレス、2020年11月