モンゴルに自由と統一を!日本人と共に民族独立を目指した悲劇の英雄・バボージャブの戦い【完】:4ページ目
エピローグ・受け継がれるモンゴル民族の大志
バボージャブの戦死によって「第二次満蒙独立運動」は失敗に終わり、勤王師扶国軍の残党たちは散り散りになって命からがら逃げ延びて行きました。
「……そうですか。かねて覚悟はしていましたが……」
別ルートで帰還した川島浪速からバボージャブの戦死を告げられた妻は、子供たちと共に保護されます。
「バボージャブ将軍は、かのチンギス=ハーンの後裔に恥じぬ戦いをなされました。自分はその偉大なるご遺志を、ご子息たちにお伝えしたく思います」
川島浪速に引き取られた四人の遺児たちはみな軍人となり、モンゴル民族独立の大志を胸にモンゴル人民共和国(大モンゴル国の後継・共産国家)や満洲国(清国の末代皇帝・愛新覚羅溥儀による国家)で活躍するのですが、それはまた別の話。
バボージャブ将軍の、そしてモンゴル民族の大志がどのような形で果たされるのか、そして日本と日本人がどのように関わっていくのか、歴史の延長線上に生きる一人として、とても興味深く見守っています。
【完】
※参考文献:
楊海英『チベットに舞う日本刀 モンゴル騎兵の現代史』文藝春秋、2014年11月
波多野勝『満蒙独立運動』PHP研究所、2001年2月
渡辺竜策『馬賊-日中戦争史の側面』中央公論新社、1964年4月