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静かな川原で繰り広げられた血みどろの惨劇!目久尻川のカッパ伝説を紹介

静かな川原で繰り広げられた血みどろの惨劇!目久尻川のカッパ伝説を紹介

目玉をくじってカッパの尻に……!

さて、人間たちに完全包囲されてしまったカッパたちは抵抗も脱出もままならず、親分をはじめほとんどの者が捕らわれてしまいました。

「少しくらいならと大目に見れば調子に乗りおって!寒川大明神の御供え物に手を出したが運の尽きじゃ!」

雁字搦めに縛り上げられたカッパの親分をみんなの前に引き出して、村人は宣言しました。

「カッパども、よく見ておけ!今後わしらの作物に指一本触れようものなら、こうしてくれるからな!」

そう言って短刀の鞘を払うが早いか、カッパ親分の目玉に突き立てます。

「ぎゃあっ!」「親分!」

カッパたちの悲鳴も構わず、村人は突き立てた短刀をぐるりと回してカッパ親分の目玉をくじり(えぐり)出してしまいました。

「この人でなし!」「鬼畜生め!」

「やかましいわい。うぬらの態度が気に入らんから、もう片方もくじってくれるわ!」

かくしてカッパ親分は両目をくじり出され、その目玉を尻に喰わされて(突っ込まれて)しまいます。

「うぬが目玉を、尻子玉(しりこだま※)の代わりにするがいい!」

(※カッパが好む架空上の臓器で、これを尻から抜かれると死んでしまうとされた)

言うまでもなく、他のカッパたちも完膚なきまで袋叩きにされてしまいましたが、この時の暴行は凄まじく、カッパたちの流した血によって川が赤く染まったとも言われています。

このカッパの目玉を「くじり」出して尻に喰わせた(目喰尻)惨劇から、この川は目久尻川と呼ばれるようになったそうです。

エピローグ

……以上が現地の伝承(諸説あり)ですが、仕返しとは言えあまりに惨たらしいため、海老名市ではこうしたカッパ伝説を「あくまで昔話の世界」とした上で「水の勢いが激しくて、目に余るほど川岸の土をくじってしまったから(要約)」としています。

その後、カッパたちを血祭りに上げてしまった村人たちが祟られはしなかったか心配になってしまいますが、現代ではカッパ伝説は市民に親しまれ、目久尻川の流域ではあちこちに可愛らしいカッパのデザイン・モニュメント等を見ることができます。

かつてのトラウマから、現代この川でカッパに会うことは出来ないようですが、再びカッパと人間が仲良く共生できるようになることを願います。

※参考文献:
海老名市広報広聴課 編『海老名むかしばなし 第5集 えびな伝承文化叢書』海老名市、1990年3月

 

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