どんな美女にもまさる姫君!「源氏物語」ヒロインで極度のコミュ障・末摘花の恋愛エピソード【三】

前回のあらすじ

どんな美女にもまさる姫君!「源氏物語」ヒロインで極度のコミュ障・末摘花の恋愛エピソード【一】

平安文学の頂点とも言われる紫式部『源氏物語』。その主人公である光源氏(ひかるげんじ)と言えば、フィクションながら日本史上でもたぐいまれなるプレイボーイとして知られています。本作では、幼くして亡…

どんな美女にもまさる姫君!「源氏物語」ヒロインで極度のコミュ障・末摘花の恋愛エピソード【二】

前回のあらすじ[insert_post id=112787]『源氏物語』の主人公にして日本史上きってのプレイボーイ・光源氏(ひかるげんじ)は、乳兄弟である大輔の命婦(たゆう-みょうぶ)から…

『源氏物語』の主人公にして平安時代きってのプレイボーイ・光源氏(ひかるげんじ)は、乳兄弟である大輔の命婦(たゆう-みょうぶ)から、亡き常陸宮の姫君が侘しい暮らしを強いられているとの噂を聞いて興味津々。

しかし、姫君は極度のコミュ障で、なかなか逢えないまま半年もの月日が流れたものの、すったもんだの末にようやくゴールイン。

……が、お楽しみの翌朝に光源氏が見たのは「象(普賢菩薩の乗り物)のように長く垂れ下がった赤い鼻」をした非常に不細k……もとい個性的な姫君の容姿。

あまりのショックに光源氏は姫君に「末摘花(すゑつむはな)」という二つ名を贈り、覚束ない足取りで常陸宮の屋敷を去ったのでした……。

「却って忘れかねると言うか……」光源氏の優しさ

「……命っ、婦っ!」

やっとの思いで屋敷に帰り着いた光源氏は、よくもあんな姫君を紹介してくれたものだとカンカンです。

「お許し下さいませ……わたくしも、あの豊かでお美しい御髪(おぐし)を拝見した限りで、きっと御容姿もそのようであると……」

すっかり恐縮してしまった大輔の命婦を前に、光源氏も気を取り直します。

「……まぁ、お顔を知らなかったそなたを責めても詮なきこと。もうその事はよい。これからは、かの末摘花の姫君と……そう、決して艶(なまめ)かしき仲ではなく、もっとこう、健全なおつき合いを……」

とか何とか言いながら、出来る限りの経済支援を申し出ます。これを聞いた大輔の命婦は大層喜びましたが、ふと疑問にも思いました。

「お申し出は有り難いのですが……なぜご自身の睦まれない姫君にそこまで?」

すると光源氏は実に複雑そうな表情で答えます。

「……実のところ、もしも彼女がそこそこの美人で器量もよければ、ここまではしない。次の男性が現れた時の障りになるかも知れないからね。でも……あそこまでとことん不細k……ごにょごにょ……だと、その……却って忘れかねると言うか……私以外の男では、とてもお相手が務まるまいから……」

無礼千万にも程がある物言いではありますが、加えて生来のコミュ障でもある姫君に、次の男性が現れる見込みも薄そうです。

「はい……あなた様のそういうところ、わたくしは大好きです

大輔の命婦はそう笑って深く感謝の意を申し述べると、報告のために帰っていきました。

3ページ目 ところで「末摘花」って?

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