現代でも地毛で日本髪を結っている力士と舞妓
現代でもお正月や成人式、七五三などの改まった席では、私たちも和服を着る事があります。しかし、髪型まで昔ながらの日本髪にする機会は、和装での結婚式以外ほとんどないのではないでしょうか。ましてや日常的に、かつらではなく地毛で日本髪を結っているという人は、老若男女問わずあまり見かけません。
ところが現代でも、大相撲の力士と舞妓さんは、日常的に地毛で伝統的な日本髪を結っています。
いったいなぜなのでしょうか?
もしかしたら「髷を結って着物を着た姿では、あまり遠くへは行けないだろうから」という、新人の逃亡防止対策でしょうか?
・・・いえいえ、断じてそんなことはありません。髷を結っていようが着物を着ていようが、現代ならその気になればどこまででも逃亡はできてしまいます!
舞妓さんと芸妓さんは、どちらも元々は地毛だった
芸妓と舞妓は、もともとはどちらも地毛で日本髪を結っていました。
違っていたのは、その髪型でした。
芸妓になる前の見習い期間である舞妓の髪型は、舞妓になってからの年数によって違います。出たての舞妓は「割れしのぶ」という髪型で、少し年数を重ねた「おねえさん」になると「おふく」という髪型に変わります。
そして「襟替え」して芸妓になる前の2週間くらいの間結うのが「先笄(さっこう)」。
どの髪型も髪の長さが必要となるため、現代でも舞妓さんはみんな髪を長く伸ばしています。
一方芸妓は「島田髷」という髷を結いますが、この髪型にするには相当な髪の長さが必要となります。そのため、昔は舞妓と同じように地毛で髷を結っていた芸妓の中にいつしかカツラをかぶる人が現れ、それが一般的になっていったのです。
ちなみに一部の花街の舞妓さんは、コンビニ・ファストフード・映画館・カラオケなどへの出入りが禁止されているのだとか。伝統とイメージを大切にする為に、そう決められているのです。
しかし芸妓さんはカツラがあるおかげで、普段は普通の髪型・服装で過ごし、出入り禁止の場所も特になくなります。
3ページ目 明治維新の「断髪令」があっても生き延びた力士の髷