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ラトゥール「もう余計なことするなよ」と招致委員に忠告していた「いだてん」第34話振り返り:2ページ目
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帰国後すぐに日本開催に向けて行動する
ラトゥールは日本から離れる直前に、「ヨーロッパから遠いという不利な点はあるが、それ以外の問題は解消可能」として、東京大会開催がほぼ確定的なものであるという視察談を発表しています。
ただおもしろいのが、招致委員会は私の視察をもって仕事を終わりにし、以降は余計な裏工作などせず決定を待ちなさい、と言っていることです。
やはり、日本の招致委員会がムッソリーニと譲歩の密約をしたことがよほど気に入らなかったのでしょう……。それで多くのIOC委員の反感を買ったわけですから、ラトゥールとしてもこれ以上変な行動をされては、もうかばいきれないよ、ということでしょうか。
ラトゥールはベルギーに帰国する前、中継地のサンフランシスコで東京大会支援の旨を表明しています。ラトゥールがベルギーに帰国後にスウェーデンの日刊紙に語った講演から、スウェーデン公使の白鳥敏夫は「日本のスポーツは進歩していること、国民はオリンピックに対する理解があり、熱気を持っていること、さらには冬季大会開催可能な候補地もあること」から、日本大会開催の可能性に確信が持てた、と報告しました。
以後、日本の招致委員会はラトゥールの忠告通りに小ズルい招致工作をやめ、ラトゥールにすべてを任せることにしたのです。
こうして同じ年の7月には東京大会が決定するのでした。
参考:坂上康博、 高岡裕之『幻の東京オリンピックとその時代 戦時期のスポーツ・都市・身体』(青弓社、2009年)
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