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やっぱり浮世絵師・鈴木春信が好き!代表作「風俗四季哥仙」に観る春信の魅力 その1

やっぱり浮世絵師・鈴木春信が好き!代表作「風俗四季哥仙」に観る春信の魅力 その1:4ページ目

この時代、年若い裕福な男性が振袖を着ることは珍しくはありませんでした。この振袖の柄を見ると“笠”に見えませんか?着物の“笠”模様には「隠す」という意味があります。それに伴って描かれている模様は、波のようでもあり、雲のようでもあり、霞のようでもあります。

雲や霞が隠すものと言えば“月”ではありませんか?

この若い武士は、天照大御神の弟の月読命(ツクヨミ・ツキヨミ)と見立てることができます。ツクヨミの神名が意味するものには“暦や月齢を数える”“日月を数える”という意味もあるのです。

去年はいろいろ苦労もあったけれど、月が変わってまた明るい年を迎えることを祈る人々に、天照大御神と月読命の組み合わせはピッタリです。新しい年を迎える元旦には、これ以上おめでたい絵暦は無いのではないでしょうか。

まとめ

今回私がこの「風俗四季哥仙 立春」を読み込んでみたものは、間違いもあるかもしれません。

しかし、浮世絵の草創紀に人々のなかで交わされた“絵暦交換会”は、それぞれの人が、暦を読み込んで、絵面だけではないものを発見し、楽しんだものなのではないかと思います。

次回、“風俗四季哥仙 (その2)”に続きます。

 

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